こんにちは。川崎市・横浜市エリアを中心に、浄土真宗の仏壇・仏具をご案内している「新川崎雲山堂(しんかわさきうんざんどう)」代表の青地直樹です 。
お仏壇は、車や家電のように数年で買い替えるものではありません 。30年、50年、あるいは孫の代まで100年と受け継がれていく、ご家庭にとっての「心の拠り所」です 。だからこそ、初めて選ぶ方やお買い替えを検討されている方には、絶対に後悔してほしくありません 。
「浄土真宗の仏壇は金仏壇と聞いたけれど、マンションには合わない?」
「お東とお西で、仏具の形が全く違うって本当?」
「インターネットで買うのと、専門店で相談するのは何が違うの?」
今回は、こうした疑問に対して、浄土真宗専門店の視点から徹底的に解説します。専門用語には分かりやすい説明を加えながら、皆様のお仏壇選びに本当に役立つ情報をお届けします。
1. なぜ東京・神奈川には「浄土真宗専門」の仏壇店が少ないのか?
東京都や神奈川県には数多くの仏壇店がありますが、「浄土真宗専門」を掲げるお店は極めて稀です。なぜなら、そこには「圧倒的な専門知識の複雑さ」と「提案力の重要性」という壁があるからです。
理由①:専門知識の複雑さと「間違い」のリスク
浄土真宗は、他の宗派に比べてお仏壇の内部の造り(宮殿)や、飾る仏具の形状が非常に細かく定められています 。
「お東(真宗大谷派)」と「お西(浄土真宗本願寺派)」で、屋根の形、柱の装飾、仏具の色や形がすべて異なります 。
一般的な仏壇店では、全宗派を広く浅く扱うため、この細かな違いを正確に把握しきれず、「浄土真宗風」のセットとして販売してしまうケースも少なくありません。私たちは専門店として、教義に基づいた「正しい形」を厳格に守り、間違いのないご提案をする責任を負っています。
理由②:カタログと現地シミュレーションによる「最適解」の提案
「専門店なら、お店にたくさんの金仏壇が並んでいるの?」と思われるかもしれません。しかし、当店ではあえて店頭への大量展示は行わず、専門のカタログと実地でのご提案を重視しています。
なぜなら、お仏壇は「単なる物」ではなく「空間」だからです。お店で見るのと、実際のお部屋に置くのでは、サイズ感や光の当たり方が全く異なります 。
私たちは、膨大な種類の金仏壇・唐木仏壇・モダン仏壇の中から、お客様のご予算とご自宅の寸法に完璧にマッチするものを厳選してご提案します 。これにより、在庫を売るための接客ではなく、「お客様にとってのベスト」を探すコンサルティングが可能になるのです 。
[浄土真宗のお仏壇に関するご相談は、新川崎雲山堂へ]
2. 浄土真宗の正式な「金仏壇」とは?選び方のポイント
浄土真宗におけるお仏壇は、「お内仏(おないぶつ)」とも呼ばれ、「家庭内にあるお寺(仏堂)」という意味を持ちます 。その正式な姿が「金仏壇」です 。
Q. 「金仏壇」とはどのようなお仏壇ですか?
A. 極楽浄土の世界観を表現した、漆塗りや金箔で仕上げられたお仏壇です 。
金仏壇は、白木の状態から、漆塗り(またはカシュー塗りなどの高級塗装)、金箔押し、蒔絵、錺(かざり)金具といった伝統工芸の技を集結して作られます 。全体が金色に輝いているのは、阿弥陀如来さまがいらっしゃる「光り輝く極楽浄土」をその場に再現しているからです 。
※補足:塗装について
伝統的には「漆塗り」が基本ですが、近年ではピアノの塗装に使われる強固な「高級ウレタン塗り」や、神社仏閣の補修にも使われる「カシュー塗り」など、耐久性と美しさを兼ね備えた技法も多く用いられています 。
Q. 「お東(大谷派)」と「お西(本願寺派)」で、金仏壇のデザインはどう違いますか?
A. ご本尊を安置する「宮殿(くうでん)」の屋根と柱のデザインが決定的に異なります 。
これは、京都にあるそれぞれの本山(お寺)の建物を模しているためです 。
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- 真宗大谷派(お東)の金仏壇:
- 屋根: 二重の瓦屋根のデザインです 。
- 柱: 黒い漆塗りの柱に、金色の錺(かざり)金具が施されています。「黒」の面積が多く、引き締まった印象を与えます 。

- 浄土真宗本願寺派(お西)の金仏壇:
- 屋根: 一重の杮(こけら)葺きの屋根で、妻入りのデザインが多く見られます 。
- 柱: 柱全体に金箔が押されており(金柱)、その上に金具がつきます。「金」一色に見え、非常に煌びやかな印象です 。

【購入時の注意点】
金仏壇を選ぶ際は、ご自身が「お東」か「お西」かを必ず確認し、店員に伝えてください 。間違った宗派のデザインを選ぶことは、家庭内に違う宗派のお寺を建てることと同じになってしまいます。
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3. マンションやリビングに合う「モダン仏壇」での祀り方
近年は「金仏壇を置く和室がない」「リビングのインテリアに合わない」という理由で、家具調の「モダン仏壇」を選ばれる方が増えています 。浄土真宗では、モダン仏壇を選んでも問題ありませんか?というご質問をよくいただきます。
Q. 浄土真宗で「モダン仏壇」を選んでも良いのですか?
A. はい、問題ありません。大切なのは「ご本尊をお迎えする心」と「浄土真宗らしさ」の表現です 。
外側(箱)のデザインは、お部屋の雰囲気に合わせたウォールナットやタモ材などのモダンなもので構いません 。しかし、内部の飾り方(荘厳)で浄土真宗の教えを大切にすることが重要です 。
モダン仏壇で「浄土真宗らしさ」を出す3つのポイント
- ご本尊は「掛軸」が正式
仏像ではなく、本山から授与される(または仏壇店で購入する)「阿弥陀如来」の掛軸をご用意いただくのが推奨されています 。 - 脇掛(わきがけ)を省略しない
ご本尊の両脇には、お東なら向かって右に「帰命尽十方無碍光如来(十字名号)」左に「南無不可思議光如来(九字名号)」、お西なら向かって右に「親鸞聖人」左に「蓮如上人」の掛軸をお祀りします 。モダン仏壇であっても、この三幅(さんぷく)を揃えることで、浄土真宗の正式な形に近づきます 。 - 仏具は専用のものを使う
華鋲(けびょう)や土香炉など、浄土真宗特有の仏具を可能な範囲で取り入れます 。
4. 浄土真宗の仏具「三具足」と「五具足」の正しい知識
お仏壇に飾る仏具の中で、最も基本的かつ重要なのが「三具足(みつぐそく)」です 。
Q. 「三具足(みつぐそく)」とは何ですか?
A. 「花瓶(花立)」「香炉」「蝋燭立」の3点セットのことです 。
正式には、蝋燭立と花瓶をそれぞれ1対(2つずつ)用意し、中央の香炉と合わせて全部で5つ飾る「五具足(ごぐそく)」が基本です 。しかし、一般家庭のお仏壇ではスペースの兼ね合いもあり、それぞれ1つずつで飾る「三具足」が一般的となっています 。
飾る順番は、向かって左から「花瓶」、中央に「香炉」、右に「蝋燭立」となります 。
宗派による仏具の形・色の違い(ここが重要です!)
お仏壇本体と同様に、仏具も「お東」と「お西」で全く異なります 。ここを間違えないことが、専門店選びの肝となります。
1. 蝋燭立(ろうそくたて)
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- 真宗大谷派(お東):
- 形: 亀の上に鶴が乗り、その鶴が蓮の軸をくわえている独特のデザイン(鶴亀)です 。
- 色: 真鍮の金色(磨き)が基本です 。
- 浄土真宗本願寺派(お西):
- 形: 足元は3本脚で、鳥の頭が向かい合わせになっているようなデザインなどがあります 。
- 色: 金色ではなく、焦げ茶色(黒っぽい色)です 。これは「漆焼き付け」や「煮色(にいろ)」という技法で仕上げられています 。


2. 香炉(こうろ)と線香の供え方
浄土真宗では、線香を立てずに「寝かせて」供えます 。そのため、三具足の金属製の香炉はあくまで「飾り」として中段に置き、実際にお線香を焚くときは「土香炉(どこうろ)」という陶器製の香炉を使います 。
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- 真宗大谷派(お東): 透かし模様が入った「透かし香炉」を使用します 。
- 浄土真宗本願寺派(お西): 丸みのある「玉香炉(たまこうろ)」を使用します 。


3. 花瓶(かびん・はなたて)
- お東: 金色の真鍮製が一般的です 。
- お西: 蝋燭立と同様に焦げ茶色(煮色)で、持ち手(耳)の部分が獅子の形などをしている特徴的なデザインが多く見られます 。
5. 新川崎雲山堂が「対面販売」と「訪問」にこだわる理由
当店では、インターネットだけでの仏壇販売は行っておりません 。なぜなら、画面上の情報だけでは、お客様が本当に満足できる「祈りの空間」を作ることは不可能だと考えているからです 。
ネットでは分からない「調和」と「立体感」
お仏壇は、単体で見るものではありません。仏具を並べ、ご本尊を安置して初めて完成します。
実際の仏壇の中に仏具を並べてみると、
「思ったより仏具が大きくて、ご本尊が見えにくい」
「写真では分からなかったけれど、掛軸と照明のバランスが悪い」
といった、画面では決して分からない立体的な配置の課題が見えてきます 。これを確認せずに購入することは、大きなリスクです。
「メジャー」を持ってお宅へ伺う、出張シミュレーション
当店が最も大切にしているのが、お客様のご自宅へ伺うことです 。
「この棚の上に置きたい」とおっしゃっても、実際にメジャーで測ってみると、扉を開くスペースが足りなかったり、お参りする時に見上げる角度がきつすぎたりすることがあります 。
私自身がメジャーを持ち、お客様の目の前で
「ここにこのサイズのお仏壇を置くと、高さはここまで来ます」
「扉を開くと、隣の家具との隙間はこれくらいになります」
と、実際の空間でシミュレーションを行います 。
この工程を経ることで、「届いてみたらイメージと違った」という後悔を100%防ぐことができます。これは、クリック一つで届くネット通販では絶対にできない、専門店の責任ある仕事です 。
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6. お仏壇の修復(お洗濯)と処分の正しい作法
お仏壇は「買ったら終わり」ではありません。長く使い続けるためのメンテナンスや、やむを得ず手放す時の作法についても、正しい知識が必要です。
お仏壇の「お洗濯」とは?
A. 汚れを落とすだけでなく、分解・修復・再塗装を行う「総塗替え修繕」のことです 。
単なるクリーニングとは異なり、お仏壇を一度解体し、木地の割れを直し、漆や塗料を塗り直し、金箔を押し直し、金具をメッキし直します 。
お仏壇は釘を一本も使わない「ほぞ組」などの技法を中心に、部分的には釘も併用しながら組み立てられているため、熟練の職人でなければ元に戻すことはできません 。
新品同様、あるいはそれ以上の輝きを取り戻すことができます。これは「ご先祖様が手を合わせてきた場所」を物理的に残せるという点で、買い替えにはない大きな価値があります 。
お仏壇の「供養処分」について
引っ越しや継承者の問題で、やむを得ずお仏壇を手放さなければならない場合、「お仏壇の供養処分(いわゆるお仏壇じまい)」を承っております 。
【当店の方針:形式だけではない「本物の供養」を】
当店では、お仏壇の処分を単なる廃棄作業ではなく、「仏教としての供養」として一律に承っております。
提携寺院の正式なご住職による読経・供養を必ず行い、宗教的儀礼に基づいた「本物の供養」をご提供することにこだわっております。
例えば、浄土真宗では教義上「魂」という概念がないため、一般的に言われる「魂抜き」とは呼ばず「遷仏法要(せんぶつほうよう)」を行いますが、「長年手を合わせてきたお仏壇に感謝を伝えてからお別れする」という本質は変わりません 。
そのため当店では、特定の宗派に限定せず、広く「仏教としての供養」として一律に承り、責任を持ってお焚き上げ等の処分を行っております。「形だけの供養ではなく、最後まできちんと礼を尽くしたい」という方は、ぜひ安心してお任せください。
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7. まとめ:まずは「相談」から始めてみませんか?
浄土真宗のお仏壇選びは、知れば知るほど奥が深く、同時に「決まり事」も多いものです 。
しかし、その決まり事一つひとつには、「ご先祖様を敬い、阿弥陀様のお慈悲に感謝する」という深い意味が込められています 。
- お東とお西の違いが不安な方
- マンションに合う、浄土真宗らしいモダン仏壇をお探しの方
- 実家のお仏壇を修復するか、買い換えるか迷っている方
まずは、新川崎雲山堂にご相談ください。
川崎市・横浜市・東京23区エリアであれば、私が直接ご自宅へ伺い、お部屋の寸法を測りながら、最適なご提案をさせていただきます。もちろん、ご来店いただいてカタログを見ながらじっくりお話しすることも大歓迎です 。
一生に一度あるかないかの大切なお買い物。
インターネットの情報や画像だけでは分からない「安心」と「納得」を、対面ならではの丁寧なサポートでお届けします 。
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この記事の監修者
株式会社 新川崎雲山堂 体表取締役 青地 直樹

役職: 代表取締役 / 仏師三代目
経歴:
昭和24年創業の仏壇店「雲山堂」をルーツに持つ「新川崎雲山堂」の三代目。祖父、父の背中を見て育ち、幼い頃から仏壇・仏具に触れる。大学では建築学を専攻し、住宅デザインや動線計画を学ぶ。卒業後、家業を継ぎ、仏壇業一筋の道を歩む。経営者として悩んだ経験から「お客様の心に寄り添う」ことを経営理念の中心に据え、日々お客様と向き合っている。
保有資格:
- 二級建築士
- 仏事コーディネーター
お客様へのメッセージ:
「お仏壇は、特別なものではなく、日常生活の中に溶け込み、故人と共に暮らすための大切な場所です。私たちは、お客様が心から安らぎ、自然と手を合わせたくなるような、世界に一つだけの祈りの空間を創るお手伝いをさせていただきます。どんな些細なことでも、お気軽にご相談ください。
免責事項:本記事の情報は執筆時点のものです。商品・サービスの仕様や価格、法要の慣習は地域や宗派によって異なる場合があります。





