小さな頃は、祖父のお店をチョロチョロしたり、父に付いていった先のお寺さんの中を駆け回ったり、“ほとけさま”や“お仏壇”に囲まれていることが普通のことで、特に意識したこともありませんでした。
そんなある日のこと祖母から
『私達はね 人様が手を合わせるものを扱ってるんだよ』
と言われました。 急に、自分の身近にあった品物達が大きく見えて、背筋がぴんと伸び、なんだか胸が熱くなったのを今も覚えています。
そして、今はそんな仕事をさせて頂いていることに感謝しております。
中学生の頃から力仕事や現場の追回しとして仕事を手伝いお客様と接するなかで、仏様に手を合わせる心、かけがえのない人に対する思い、ご先祖様へのつながりの意識と感謝、ご家庭にお仏壇があることの大切さ家族のきずなや親族とのつながりの大きさなど、本当に沢山のことをお客様から教えて頂き、また大事なことに気づかせて頂きました。
大学に進み、もともと興味のあった建築学科で主にデザイン設計を学びました。
他の工学にはない建築ならではの特徴「人の動きを考える」ということを中心に、空気の動き、色彩、明るさなどさまざまなものを通して、建築が如何に人に影響を与えるのかを学び、卒業製作のテーマは「建築が生み出す人の動きとコミュニケーション」でした。
そして、卒業後に仕事をしながら夜間の専門学校に通い、「2級建築士」を取得しました。
今でもお客様のお宅に伺うと、真っ先に「そこで暮らす人がどのように動くのか」を想像し、仏壇と生活が交わりながら、より良い暮らしをして頂けるように、お仏壇選びの相談に乗っております。
また、お客様とお話ししていると、さまざまな仏事に関する質問をされます。
より知識を深め、さらにお客様の役に立てるようになるために、平成17年に「仏事コーディネーター」の資格を取得しました。
お客様が最高の仏壇に出逢い、暮らしに豊かさと安らぎの灯をともすために、私がこれまで培った仏壇店としての経験と、2級建築士としての知恵と、仏事コーディネーターとしての知識を、存分に利用していただければ、とても嬉しく思います。