新川崎雲山堂のブログをご覧いただき、誠にありがとうございます。
新川崎雲山堂 代表取締役の青地直樹です。
大切なご家族を亡くされ、深い悲しみの中にいらっしゃることとお察しいたします。
四十九日法要に向けて「お位牌(いはい)」を用意しなければならないけれど、浄土宗の作法や選び方がわからず、不安を感じておられる方も多いのではないでしょうか。
「浄土宗では、位牌に特別な文字を入れると聞いたけれど……」
「伝統的な形が良いのか、少し現代的なものが良いのか迷っている」
「一生に一度のものだから、後悔しない品質のものを選びたい」
このようなお悩みをお持ちの方へ向けて、本記事では浄土宗のお位牌の選び方を、専門家の視点から徹底的に解説いたします。
お位牌は故人の魂が宿る大切なものです。そして、お墓とは異なりお家で一緒に生活をし、日常を共に過ごします。だからこそ、故人を思い出しながら、心を込めて選んで欲しいと思います。
創業以来、多くのお客様の想いに寄り添ってきた「新川崎雲山堂」が、皆様の位牌選びの道しるべとなれば幸いです。
1. 浄土宗の位牌選び|基本の「き」
まず、浄土宗における位牌選びで最も多く寄せられる疑問について、結論からお伝えします。
Q. 浄土宗専用の「位牌の形」という決まりはありますか?
A. 厳密な決まりはありませんが、「伝統的な塗り位牌」が選ばれる傾向にあります。
浄土宗において、位牌の形状(デザイン)に教義上の厳格なルールはありません。しかし、歴史ある宗派であるため、「春日(かすが)」や「勝美(かつみ)」といった、古くからある伝統的な「塗り位牌」を選ばれる方が多くいらっしゃいます。
近年では、仏壇のデザインや故人のお好みに合わせて、蒔絵(まきえ)を施した位牌などを選ぶ方も増えています。大切なのは、毎日手を合わせるご遺族が「故人らしい」「この位牌にしてよかった」と思えるかどうかです。
浄土宗で欠かせない「梵字(ぼんじ)」とは?
浄土宗のお位牌を作る際、非常に重要なのが「梵字(ぼんじ)」の存在です。
- 梵字(ぼんじ)とは: 仏様を一文字で表した神聖な文字のこと。
- 浄土宗の梵字: 「キリーク」という文字を使用します。

この「キリーク」は、浄土宗のご本尊である阿弥陀如来(あみだにょらい)、特に舟立弥陀(ふなだてみだ)を表しています。
位牌の戒名(法名)の上にこの梵字を入れることで、「阿弥陀様のお導きにより、極楽浄土へ往生する」という意味合いが込められます。
※地域やお寺様の考え方によっては梵字を入れない場合もありますので、事前の確認が必要です。
2. 失敗しない位牌の種類と選び方
お位牌には大きく分けて3つの種類があります。見た目は似ていても、「素材」「技法」「仕上げ」それぞれに大きな違いがあります。
ここでは、浄土宗の方によく選ばれる種類と、当店がこだわる「本物の品質」について解説します。
【種類1】塗り位牌(ぬりいはい)|最も格式高い伝統の形
漆(うるし)を塗り、金箔や金粉で装飾した、黒と金のコントラストが美しい位牌です。
浄土宗では最もスタンダードな選択肢となります。
新川崎雲山堂のこだわり:本漆と本金
「どの位牌を選んでも、そんなに変わらないのでは……」そう思われる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、安価な海外製品と、日本の職人が作る本物の位牌には決定的な違いがあります。
- 素材(木材):
海外製などの安価な塗り位牌では、そのときどきの安く手に入る様々な材木を使用したりするため材料名が特定できません。これに対し、当店の会津塗り位牌は、位牌に適した材木を厳選して、上質な朴木(ほおのき)及び松(まつ)を使用しております。『このお位牌の材料はなんですか?』という質問に戸惑いなく答えられるかどうか、そこが本物の位牌を取り扱うお店の証です。 - 技法(漆):
当店の会津塗り位牌は、安価な合成樹脂塗料ではなく本物の漆を使用しています。天然素材である本漆は、扱いが難しく乾燥にも時間がかかりますが、その分、深く優雅な艶と耐久性を持ちあわせております。 - 仕上げ(金):
当店の会津塗り位牌は、安価な金色風の塗料ではなく純度98%以上の本物の「金箔」「金紛」です。本物の金は、時間が経っても色褪せず、落ち着いた気品ある輝きを保ち続けます。
【種類2】唐木位牌(からきいはい)|木の温もりと重厚感
黒檀(こくたん)や紫檀(したん)といった、非常に硬く耐久性に優れた銘木を使用した位牌です。
木そのものの美しい木目を活かしており、重厚感があります。
「漆塗りの黒よりも、木の温かみが欲しい」という方に選ばれています。耐久性が高いため、末永くお祀りするのに適しています。
【種類3】蒔絵位牌(まきえいはい)|美しさと個性の調和
伝統的な漆塗りの技法をベースにしつつ、表面に「蒔絵(まきえ)」と呼ばれる美しい絵柄を施した位牌、あるいは黒檀や紫檀といった美しく硬い銘木をベースに蒔絵を施した位牌です。
- 特徴: 桜や朝顔、秋桜などの絵柄が描かれており、故人の好きだった季節や花を表現できます。
- 素材: ベースには黒檀や紫檀といった美しく硬い銘木を使用しているため、耐久性も抜群です。
- おすすめの方: 「真っ黒な位牌だと少し寂しい」「故人らしい華やかさを添えたい」という方。現代的な家具調仏壇にもよく合います。
3. 複数の位牌をまとめる「回出位牌(くりだしいはい)」
ご先祖様のお位牌が増えて仏壇に入りきらなくなった場合や、実家の仏壇じまいなどで複数の位牌を一つにまとめる場合に選ばれるのが「回出位牌(くりだしいはい)」です。(※「繰出位牌」とも書きますが、当店では「回出位牌」としてご案内しています)
回出位牌の仕組み
位牌の本体が箱のような構造になっており、その中に複数枚の「札板(ふだいた)」が入っています。
一番前の黒塗りの札板に「〇〇家先祖代々之霊位」などの文字を入れ、2枚目以降の白木(または塗り)の札板に、ご先祖様一人ひとりの戒名(法名)、没年月日、俗名などを記します。
ご命日の際には、その方の札板を一番前に出して供養します。
夫婦連名や子供・水子の並列記載について
回出位牌に限らず、一般的なお位牌や札板において、以下のような入れ方も可能です。
- 夫婦連名(めおとれんめい): ご夫婦の戒名を、1枚の札板(または位牌)に左右に並べて入れます。一般的には向かって右が夫、左が妻となります。
- 子供・水子の並列: 水子様や童子様などを、3名程度まで1枚の札板に並べて入れる場合もあります。
ご家族の状況に合わせた最適な形をご提案いたしますので、お気軽にご相談ください。
4. 浄土宗の位牌ができるまでの流れと費用
ここでは、実際に当店「新川崎雲山堂」にご来店いただいてから、お位牌が完成するまでの流れと、気になる費用相場について解説します。
作成の4ステップ
- 事前情報の確認(重要):
ご来店前に、お寺様からいただいた「白木位牌(しらきいはい)」や、戒名が書かれた紙をご用意ください。
- 戒名(法名)の漢字(旧字・俗字に注意)
- 没年月日
- 俗名(生前のお名前)
- 享年(行年)
- 梵字(キリーク)を入れるかどうか(お寺様に確認しておくとスムーズです)
- 位牌選び:
店頭にて実物をご覧いただきながら、種類(塗り、唐木、蒔絵)やサイズを選びます。
日本の職人が作る漆塗りのお位牌をお勧めいたします。熟練した会津職人の“手の温もり”と“安心感”を、是非手に取って感じてみて下さい。 - 文字入れの原稿作成:
頂いた情報をもとに、文字のレイアウトを作成し、間違いがないかご確認いただきます。
「夫婦連名」や「回出位牌」への文字入れもこの段階で指定します。 - 製作・お渡し:
職人が一文字ずつ丁寧に文字を入れ、完成となります。
通常、約2週間前後のお時間を頂戴しております。四十九日法要に間に合うよう、余裕を持ってご来店ください。
費用の目安(相場)
位牌を作る際にかかる費用は、位牌本体の価格だけでなく、お寺様へのお布施なども考慮する必要があります。
下記は一般的な相場と当店の目安です。
| 項目 | 費用の目安 | 備考 |
|---|---|---|
| 新しい位牌の購入費 | 3万円 ~ 15万円以上 | 素材(本漆・本金・銘木)や装飾(蒔絵など)により異なります。 |
| 文字入れ代 | 数千円 / 1名あたり | 回出位牌の場合も、枚数分の文字入れ代がかかります。 |
| お寺へのお布施 | 3万円 ~ 7万円以上 | 開眼供養(魂入れ)や閉眼供養(魂抜き)のお礼として。 |
| お焚き上げ費用 | 1万円以上 | 古い白木位牌や本位牌などを供養処分する場合。数によります。 |
※「文字入れ代」について:当店の文字入れは、全て「本金(金箔、金粉)」を使用しております。
※上記はあくまで目安です。詳細はお見積りいたします。
[お位牌に関するご相談は、新川崎雲山堂へ]
5. よくある質問(Q&A)
お客様からよくいただくご質問をまとめました。
Q1. 四十九日までに位牌が間に合わない場合はどうすればいいですか?
A. まずはお寺様にご相談ください。
一般的には四十九日法要で本位牌に魂入れを行いますが、間に合わない場合は、法要の日だけ白木位牌を使用し、後日改めて本位牌への魂入れを行うこともあります。また、当店ではできる限り法要に間に合うよう調整いたしますので、まずは「いつまでに必要か」をご相談ください。
Q2. ネット通販で安い位牌を買っても大丈夫ですか?
A. 長く祀るものですので、品質とアフターフォローを確認してください。
ネット通販の安価な位牌の中には、海外製の合成塗料を使用したものも多く、数年で変色したり、割れたりするリスクがあります。
当店でお勧めしているのは、日本の職人が作る漆塗りのお位牌です。
「素材」「技法」「仕上げ」にこだわった本物の位牌は、数十年先まで美しい輝きを保ちます。
Q3. お店はどこにありますか?オンライン相談はできますか?
A. 新川崎駅・鹿島田駅近くに店舗がございます。オンライン相談は行っておりません。
当店は、JR横須賀線「新川崎駅」より徒歩約15分、JR南武線「鹿島田駅」より徒歩約10分の場所にございます。(※川崎大師の近くではありませんのでご注意ください)また、大変申し訳ございませんが、オンライン相談は行っておりません。
お位牌は一生に一度の大切なお買い物です。色味や質感、サイズ感など、微妙な違いを実際にご自身の目で見て、手で触れて確かめていただきたいと考えております。
6. 最後に|新川崎雲山堂からのメッセージ
お位牌選びは、単なる「モノ選び」ではありません。
亡くなられた大切な方と、これからの日々をどう過ごしていくか、その心の拠り所を決める大切な時間です。
新川崎雲山堂では、お客様一人ひとりの想いに寄り添い、最適なご提案をさせていただきます。
一見するとどれも同じように見える位牌ですが、素材、技法、仕上げ、そして込められた想いには大きな違いがあります。
「他とは違う」という実感を、是非手に取って感じてみて下さい。
ご不明な点やご不安なことがございましたら、どのような些細なことでも構いません。
新川崎雲山堂まで、お気軽にご相談ください。
皆様のご来店を、心よりお待ちしております。
[お位牌に関するご相談は、新川崎雲山堂へ]
この記事の監修者
株式会社 新川崎雲山堂 体表取締役 青地 直樹

役職: 代表取締役 / 仏師三代目
経歴:
昭和24年創業の仏壇店「雲山堂」をルーツに持つ「新川崎雲山堂」の三代目。祖父、父の背中を見て育ち、幼い頃から仏壇・仏具に触れる。大学では建築学を専攻し、住宅デザインや動線計画を学ぶ。卒業後、家業を継ぎ、仏壇業一筋の道を歩む。経営者として悩んだ経験から「お客様の心に寄り添う」ことを経営理念の中心に据え、日々お客様と向き合っている。
保有資格:
- 二級建築士
- 仏事コーディネーター
お客様へのメッセージ:
「お仏壇は、特別なものではなく、日常生活の中に溶け込み、故人と共に暮らすための大切な場所です。私たちは、お客様が心から安らぎ、自然と手を合わせたくなるような、世界に一つだけの祈りの空間を創るお手伝いをさせていただきます。どんな些細なことでも、お気軽にご相談ください。
免責事項:本記事の情報は執筆時点のものです。商品・サービスの仕様や価格、法要の慣習は地域や宗派によって異なる場合があります。





