お仏壇は北向きを避けるようご説明しております。
お仏壇を置くとき、どちらに向けるのが良いのか、
また、向けてはいけない方角があるのか、など
気になると思います。
宗派によっても、良いとされる向きがさまざまですが、
住宅事情もありますので、「こちら向きが良い」と言われても、
その向きに置けるスペースがあるとは限りません。
そこで、私どもは良い向きではなく、避けて置くと良い向きを
お伝えするようにしています。
それが「北向きを避ける」という伝え方になります。
実際に、それぞれの説を見ていくと、
南面北座説
中国の習慣に由来する。
王様や高貴な人は南を向いて座るので、
家来達は北を向くことから、
敬う対象である仏壇を南向きする説
東面西座説
インドの慣習に由来する。
東は日の出の方角で、立身出世の象徴、
主人は東向きに座ると良い
西方浄土説
仏様が住んでいるお浄土が西の方角であり、
仏壇を通して西の彼方にある仏様を拝むようにする説
本山中心説
仏壇を拝む方向の延長線上に総本山があるようにする説
春夏秋冬説
季節を太陽の動きを元にそれぞれの方角に例え、
東=春 南=夏 西=秋 北=冬 として、
東西南北、上下左右などに善し悪しをつけてはいけないとする説
といった具合で本当にさまざまです。
これらの、説のどれが正しく、どれが間違っている
という訳でもありませんが、正直知れば知るほど迷ってしまうと思います。
しかし、良く内容を見ていくと、一つの共通点が見つかります。
それは、
「北向き」という説がない。
ということです。
そしてさらに、北向きを避けるようにお伝えしている理由があります。
仏壇は壁面を背にして置くのが一般的ですので、
仏壇が北を向いているということは、部屋の南側に置くということになります。
多くの住宅で、日当たりの良い南側には窓が沢山付いております。
掃き出し窓が大きく付いているお宅も良く見かけます。
そうなると、仏壇を窓の前に置かなくてはいけなくなったり致します。
南側の窓の前に仏壇を置くとどうなるでしょうか?
昼間、直射日光を沢山浴びると、木製品である仏壇は
部材自体のヒビ・反り・ねじれなどの不具合に加え、
塗料が激しく劣化致します。
また、日々の仏壇を拝む時も、仏壇の裏から明るい日差しが照らすので、
逆光になり、仏壇の中は真っ暗に見えてしまいます。
これは、思いの他気分の悪いものです。
このように、北向きという説がない
ということに加え、さまざまな問題が起こりやすいことから、
私どもは、北向きを避けるようご説明しております。
そして、出来るだけ家族の集まる居間やリビングに置いて
仏壇が生活の中に溶け込み、
故人と寄り添いながら心温まる「日常」をお過ごし頂ければ、
とても嬉しく思います。