
真言宗の教えにおいて、お位牌は単なる故人の名札ではありません。それは、亡くなられた方が大日如来の世界へと還り、仏様と一体になった証でもあります。特に真言宗のお位牌の最上部に刻まれる「ア」の梵字には、宇宙の根源や生命の始まりといった深い宗教的意味が込められています。
初めてお位牌を準備される際、「どの種類を選べば良いのか」「梵字は必ず入れるべきなのか」と不安に感じる方も少なくありません。また、近年では供養の形も多様化しており、伝統を守りつつも現代の住まいに調和する形を求める声が増えています。本記事では、真言宗におけるお位牌の意味や「ア」の梵字が持つ役割、そして後悔しないお位牌選びのポイントを、専門的な視点から詳しく解説します。
1. 真言宗のお位牌における「ア」の梵字の深い意味

真言宗のお位牌の大きな特徴は、戒名(法名)の上に「ア」と読まれる梵字(ぼんじ)が刻まれることです。この一文字には、真言宗の教えの根幹が凝縮されています。
梵字「ア」は大日如来を象徴する文字
梵字の「ア(阿)」は、真言宗の御本尊である「大日如来(だいにちにょらい)」を象徴する文字です。真言宗では、すべての生命は大日如来から生まれ、また大日如来へと還っていくと考えられています。お位牌の頂点にこの文字を記すことは、故人が大日如来の加護を受け、その智慧と慈悲の世界に導かれたことを意味しています。これは、万物は本来不生不滅であるという「阿字本不生(あじほんぷしょう)」という教えを具現化したものであり、故人が仏そのものとして成仏したことを示す極めて重要な要素となります。
正しい文字入れの構成と配置
お位牌に刻む内容には、宗派ごとに定められた厳格なルールがあります。一般的に、お位牌の表面には「梵字」「戒名」「没年月日」を刻み、裏面には「俗名(生前の名前)」「没年齢」などが刻まれます。真言宗の場合、もっとも高い位置に「ア」の梵字を配置することで、仏様の世界と故人が繋がっていることを示します。この文字配置を誤ると、供養の形として不完全なものになりかねません。お付き合いのあるお寺(菩提寺)によって、細かな書き方の指定がある場合も多いため、作成前に白木位牌の写真を撮るなどして正確な情報を把握しておく必要があります。
専門知識を持つ相談先の重要性
伝統的な形式では、真言宗のお位牌に梵字を入れるのが一般的ですが、不安な場合は必ず専門知識を持つ仏壇店に相談し、正しい形式で作成することをお勧めします。ここで注意が必要なのは、よくある勘違いとして「葬儀屋さんが専門知識を持っている」と考えてしまうことです。葬儀屋さんは、葬儀を円滑に執り行うプロフェッショナルではありますが、実は仏壇や位牌の歴史、工芸的背景、宗派ごとの細かな文字入れの作法といった深い専門知識までは持ち合わせていないのが実情です。長く受け継ぐものだからこそ、仏壇・位牌の専門店に相談するのが最も安心です。
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2. 真言宗にふさわしい「本物の品質」を見極める素材と技法
お位牌は、お墓とは異なり家の中で日常を共にするものです。だからこそ、時の試練に耐えうる「本物の品質」を選ぶことが、後世まで想いを繋ぐ鍵となります。
厳選された国産木材と会津塗りの伝統
安価なお位牌の中には、材料名が特定できない海外製の木材を使用したものも多く流通していますが、当店の会津塗り位牌は、位牌に最も適した朴木(ほうのき)や姫子松(ひめこまつ)を厳選して使用しています。これらの木材は、日本の四季による温度・湿度の変化に耐えうる安定性を持ち、熟練の職人の手によって美しい形へと削り出されます。「このお位牌の材料は何ですか?」という質問に、即座に木材の名前を答えられるかどうかが、そのお店が本物を取り扱っているかどうかのリトマス試験紙となります。
合成樹脂ではない「本漆」の艶と耐久性
見た目が似ていても、安価な合成樹脂塗料(カシュー塗りなど)と「本漆(ほんうるし)」では、その耐久性と奥行きのある艶に決定的な違いがあります。天然素材である本漆は、扱いが極めて難しく乾燥にも膨大な時間を要しますが、年月を重ねるほどに深く優雅な艶を増していく特性があります。職人が何度も漆を塗り重ねる伝統技法によって、故人を象徴するにふさわしい重厚感が生まれるのです。本漆仕上げのお位牌は、数十年、数百年と手を合わせ続けるご家族にとって、変わらぬ心の拠り所となります。
純度98%以上の本金箔・金粉仕上げ
お位牌の縁や装飾を彩る「金色」の部分にも、品質の差が顕著に現れます。当店の会津塗り位牌は、安価な金色風の塗料ではなく、純度98%以上の本物の「金箔」や「金粉」を使用しています。本物の金は、酸化による変色が極めて少なく、数十年が経過しても気品ある輝きを保ち続けます。また、当店の文字入れはすべて「本金(金箔、金粉)」を用いて行われます。法要の際、お寺様の読経の中で光り輝くお位牌は、故人の尊厳を何よりも雄弁に物語ってくれるはずです。
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3. 初めてでも迷わない、真言宗のお位牌を作る4つのステップ
お位牌の作成は、四十九日法要に間に合わせるのが一般的です。慣れない手続きに戸惑うかもしれませんが、以下のステップを順に進めることで、円滑に準備が整います。
ステップ1:菩提寺への確認と戒名の準備
まずは、菩提寺に位牌の形式や「ア」の梵字を入れるルールについて確認しましょう。その際、故人の「戒名」「俗名」「没年月日」「享年(行年)」が正確に記された白木位牌などを準備します。特に真言宗では、位牌の大きさを御本尊や先祖代々の位牌とのバランスで決める習慣もあります。文字の間違いは修正が極めて困難なため、一文字ずつ丁寧に確認することが、後のトラブルを防ぐ最善の方法です。不安な場合は、白木位牌の表裏の写真を撮影し、専門店のスタッフに見せるのが最も確実です。
ステップ2:デザインとサイズの決定
仏壇の大きさや、お部屋の雰囲気に合わせてお位牌を選びます。伝統的な「四十九日法要」までに用意する本位牌は、長く安置することを前提に、飽きのこない高品質なものを選ぶのが主流です。サイズ選びで重要なのは、すでにある先祖代々のお位牌よりも大きくならないようにすることです。また、現代的な住環境で仏壇がない場合は、パーソナルな祈りのスペースに合うコンパクトなものを選ぶのも良いでしょう。最近では、洋間にも馴染む洗練されたデザインの「モダン位牌」も、真言宗のお客様に多く選ばれています。
ステップ3:納期相談と職人への依頼
通常、お位牌の文字入れには2週間程度の期間が必要です。しかし、法要まで時間がなく間に合わない可能性がある場合でも、諦めずにまずは一度ご相談ください。当店では、自社の文字入れ職人と直接交渉するなど、さまざまな可能性を模索し、法要に間に合わせるための最善を尽くします。「もう間に合わない」と一人で判断せず、プロの力を頼ってください。納期の問題だけでなく、文字の書体やレイアウトの微調整についても、職人と密に連携している専門店だからこそ、柔軟かつ迅速な対応が可能となります。
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4. 蒔絵位牌という選択|現代の住まいに調和する「故人らしさ」
近年、ライフスタイルの多様化に伴い、伝統を重んじつつも華やかさを添えた「蒔絵位牌(まきえいはい)」が、真言宗のお客様の間でも選ばれています。
銘木と伝統技法の融合による美しさ
蒔絵位牌は、黒檀や紫檀といった美しく硬い「銘木」をベースに、表面に美しい絵柄を施したお位牌です。伝統的な漆塗りの重厚感と、木の温もりが調和したデザインが特徴です。真言宗の厳格な「ア」の梵字を刻みつつも、台座部分に美しい蒔絵模様を加えることで、重苦しくなりすぎず、今の暮らしに溶け込むような「祈りの形」を実現できます。台座に施される金粉や色漆による装飾は、お位牌全体を明るく、かつ格調高い雰囲気へと引き上げてくれます。
故人の人柄や季節の思い出を表現する
蒔絵位牌の最大の魅力は、その繊細な絵柄を通じて「故人らしさ」を表現できる点にあります。桜や朝顔、秋桜(コスモス)といった季節の花々が描かれたデザインは、故人が好きだった風景や人柄を偲ぶよすがとなります。たとえば「お花が好きだった母のために、一番綺麗な桜を」といった想いを込めて絵柄を選ぶことで、お位牌は単なる儀礼の道具ではなく、家族の愛情が形になった特別な存在へと変わります。リビングに置いても自然に馴染み、毎日明るい気持ちで手を合わせられると、多くの方から喜ばれています。
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5. 【実録】大切な方を想う、真言宗のお位牌選びのエピソード
※プラバシー保護のため、内容は一部変更しています。
川崎市高津区にお住まいのS様は、急逝されたお父様のお位牌のことでご相談に来られました。お父様は生前、質実剛健な方でしたが、一方で庭に咲く朝顔を育てるのを毎年の楽しみにしておられました。
S様は当初、「真言宗だから伝統的な真っ黒なお位牌にしなければならない」と思い込んでいらっしゃいました。しかし、当店で朝顔の繊細な蒔絵が台座に施されたお位牌をご覧になり、その表情が一変しました。「父は真面目な人でしたが、この朝顔の絵柄のように、どこか優しい面もありました。これなら、リビングに置いても父が喜んでくれそうですし、私たちも毎日笑顔で手を合わせられます」と、涙ぐみながらお話しくださいました。
最終的に、上部にはしっかりと「ア」の梵字を刻み、伝統の格式を守りつつも、お父様らしさを感じられる蒔絵位牌を作成することに決まりました。四十九日法要の後、S様からは「お寺様からも『お父様らしい、良いお位牌ですね』とお言葉をいただけました」と感謝のご連絡をいただきました。伝統を大切にしながらも、今の家族の想いを形にする。それこそが、現代における理想的な供養の姿ではないかと感じた出来事でした。
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6. 新川崎雲山堂が川崎・横浜の皆様に選ばれる5つの理由
新川崎雲山堂は、創業以来70年、川崎・横浜の地で1万基以上のお位牌作りをお手伝いしてまいりました。
理由1:建築士の視点による「祀り方」の提案
代表の青地は二級建築士の資格を保有しており、設計事務所との新築の仏間の打ち合わせや、図面を介したアドバイスを得意としております。単にお位牌を販売するだけでなく、リフォーム後のお部屋やマンションのリビングにおいて、どのように「礼拝対象物」を綺麗にお祀りできるかを建築士の目線でシミュレーションいたします。
理由2:店主自らによる丁寧なご自宅訪問
当店では、お客様のご自宅に伺い、設置予定の場所を直接確認するサービスを行っております。私がメジャーで実際の高さや幅を計測し、扉を開いた際の影響なども考慮しながら、その空間に最も「しっくりくる」サイズやデザインを一緒に見つけ出します。
理由3:最高ランク「F★★★★」に準拠した安心の品質
当店の国産仏壇・仏具は、ホルムアルデヒドの発散速度が最も低い最高ランクの「F★★★★(フォースター)」規格を遵守しています。塗料や芯材、接着剤といった「見えない部分」の品質にも一切妥協せず、お客様とご家族が安心して長くお使いいただける製品のみを厳選しております。
理由4:材料の産地と製造工程の徹底した透明性
「このお位牌はどこで、誰が、何で作ったのか」という問いに対し、当店はすべて明確にお答えします。会津塗りの職人と直接連携し、使用する木材から漆の質、金粉の純度までを把握しています。お客様に嘘をつかない、透明性の高い情報開示が、一生もののお位牌を選ぶ上での大きな安心感に繋がっています。
理由5:徹底した「本物」へのこだわりと責任感
「素材」「技法」「仕上げ」のすべてにおいて、日本の職人が作る本物にこだわっています。安価な代替品では決して出せない質感と安心感を保証いたします。また、出張費用についても、ご注文をいただいた場合には実質無料となる仕組みを採用しており、お客様のご負担を最小限に抑えつつ、最大限のサポートをご提供いたします。
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よくあるご質問(Q&A)
Q. 真言宗のお位牌には、必ず「ア」の梵字を入れなければなりませんか?
A. 伝統的な形式では、真言宗のお位牌には「ア」の梵字を刻むのが一般的です。これは、故人が御本尊である大日如来と一体になったことを示す大切な証です。ただし、最終的な判断は菩提寺(お付き合いのあるお寺)の考え方によりますので、事前に確認されることをお勧めします。
Q. お位牌の値段は平均でいくらくらいですか?
A. お位牌の価格相場は3万円から15万円以上まで幅広く、一般的には5万円から10万円程度のものが多く選ばれています。価格の違いは、主に素材(朴木、黒檀、紫檀など)、塗り(本漆など)、仕上げ(本金箔の量や蒔絵の有無)によって決まります。
Q. 古いお位牌を処分して新しく作り直すことは可能ですか?
A. はい、可能です。実家の整理やお位牌を一つにまとめる「回出位牌(くりだしいはい)」への買い替えなどの際によく行われます。その際は、古いお位牌に対して「閉眼供養(魂抜き)」を、新しいお位牌に対して「開眼供養(魂入れ)」をお寺様に依頼し、古いお位牌はお焚き上げ供養をするのが正しい手順です。
Q. 「魂抜き(たましいぬき)」とは何ですか?
A. 仏像や掛軸、お位牌などを新しく作った際や、処分する際に行う宗教儀式です。これらは「礼拝対象物」であり、単なるモノではなく故人や仏様の魂が宿っていると考えられています。儀式を行うことで、魂を一時的に抜き、安全に処分したり新しくお祀りしたりすることができるようになります。
Q. 注文してから完成までどのくらいの日数がかかりますか?
A. 平均的に2週間程度の期間をいただいております。ただし、法要まで時間がなくお急ぎの場合は、まずは一度ご相談ください。当店の文字入れ職人と直接交渉を行い、可能な限りご希望の納期に間に合わせるための調整をさせていただきます。
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まとめ:故人とご家族を繋ぐ、たった一つのお位牌
真言宗のお位牌における「ア」の梵字は、故人が仏様として歩み始めた証であり、遺されたご家族が手を合わせる際の心の拠り所でもあります。一見すると同じように見えるお位牌ですが、素材や技法、そしてそこに込められる職人の想いには大きな違いがあります。
新川崎雲山堂では、お客様の住環境や宗派のしきたり、そして何より「故人をどのように偲びたいか」という想いに寄り添い、建築士としての専門知識も交えながら、最高の一基をご提案いたします。
お位牌選びや供養に関するご不安がございましたら、些細なことでもお気軽にご相談ください。川崎・横浜・東京の近隣エリアへは店主が直接お伺いし、実際の設置場所を確認しながらのアドバイスも承っております。
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この記事の監修者
株式会社 新川崎雲山堂 体表取締役 青地 直樹

役職: 代表取締役 / 仏師三代目
経歴:
昭和24年創業の仏壇店「雲山堂」をルーツに持つ「新川崎雲山堂」の三代目。祖父、父の背中を見て育ち、幼い頃から仏壇・仏具に触れる。大学では建築学を専攻し、住宅デザインや動線計画を学ぶ。卒業後、家業を継ぎ、仏壇業一筋の道を歩む。経営者として悩んだ経験から「お客様の心に寄り添う」ことを経営理念の中心に据え、日々お客様と向き合っている。
保有資格:
- 二級建築士
- 仏事コーディネーター
お客様へのメッセージ:
「お仏壇は、特別なものではなく、日常生活の中に溶け込み、故人と共に暮らすための大切な場所です。私たちは、お客様が心から安らぎ、自然と手を合わせたくなるような、世界に一つだけの祈りの空間を創るお手伝いをさせていただきます。どんな些細なことでも、お気軽にご相談ください。
免責事項:本記事の情報は執筆時点のものです。商品・サービスの仕様や価格、法要の慣習は地域や宗派によって異なる場合があります。




