
「実家の仏壇を引き継ぐことになったけれど、浄土真宗では何を飾ればいいの?」「新しくマンションに仏壇を置きたいけれど、掛軸の左右がわからない」といったお悩みをお持ちではありませんか?
浄土真宗において、お仏壇は単なる家具ではなく、阿弥陀如来様がいらっしゃる極楽浄土を家庭内に再現した「お内仏(おないぶつ)」という大切な場所です。特に中心となる掛軸(ご本尊)は、私たちが日々手を合わせる最も重要な「礼拝対象物(れいはいたいしょうぶつ)」となります。
しかし、一口に浄土真宗と言っても、本願寺派(お西)や真宗大谷派(お東)をはじめ、多くの宗派が存在し、それぞれで掛軸の種類や中央の本尊、さらには左右の配置が明確に異なります。正しい知識がないまま選んでしまうと、ご自身の宗派のしきたりに合わない飾り方になってしまうかもしれません。
この記事では、浄土真宗専門の知見に基づき、失敗しない掛軸の選び方や、お西・お東を見分けるための決定的なポイント、そして現代の住まいに合わせた正しい飾り方を詳しく解説します。
1. 浄土真宗における掛軸(ご本尊)の意義と宗派の多様性
浄土真宗の掛軸選びを始める前に、まず知っておかなければならないのが、浄土真宗の多様性と、なぜ「掛軸」という形を大切にするのかという宗教的背景です。
浄土真宗の諸宗派と本願寺派・真宗大谷派の位置づけ
浄土真宗には、本願寺派(お西)、真宗大谷派(お東)を始め、真宗高田派、真宗興正派、真宗佛光寺派など、全部で十派もの主要な宗派(真宗十派)が存在します。それぞれが宗祖・親鸞聖人の教えを継承しながら、独自の歴史と伝統、そして「荘厳(しょうごん)」と呼ばれる仏壇の飾り方の作法を育んできました。その中でも、特に信徒数が多く、一般的に「お西」「お東」として広く知られているのが本願寺派と真宗大谷派です。この記事では、これら代表的な二派を中心に解説を進めますが、まずはご自身のご実家やお付き合いのあるお寺がどの宗派に属しているかを確認することが、掛軸選びの絶対的な出発点となります。
「お内仏」としてのお仏壇と掛軸の重要性
浄土真宗では、お仏壇のことを「お内仏(おないぶつ)」と呼びます。これは「家庭内における仏堂」という意味であり、お寺の本堂をコンパクトにしたものと捉えられています。お内仏の中心に安置される掛軸は、単なる絵画や装飾品ではなく、阿弥陀如来様そのものとしてお迎えする「礼拝対象物」です。浄土真宗の信仰において、私たちは如来様の慈悲の光に照らされ、救われていく存在です。その光を具体的な形として表したものが掛軸であり、日々手を合わせることで、私たちは己の姿を省み、生かされていることへの感謝を深めます。そのため、お内仏を整える上で、掛軸の選択と配置は最も慎重に行うべき儀礼なのです。
仏像ではなく「掛軸」を推奨する教えの背景
他の宗派では、ご本尊として立体的な仏像(木像)を安置することが多いですが、浄土真宗では古くから「掛軸(絵像)」を本尊とすることが強く奨励されてきました。これには、目に見える形ある像に固執するよりも、如来様の教えや光を「絵」や「文字」として受け止めることを重視した親鸞聖人の精神が反映されています。特に、ご本山から「免物(めんもつ)」として授与される掛軸は、本山とのつながりを証明する非常に尊いものとされます。仏壇店で購入する場合も、こうした宗教的な意味合いを理解し、職人が魂を込めて描いた良質な掛軸を選ぶことが、後悔のない「お内仏作り」へと繋がります。
[浄土真宗のお仏壇に関するご相談は、新川崎雲山堂へ]
2. 【本尊】阿弥陀如来掛軸の見分け方:後光の本数に注目
お仏壇の中央に祀るのが、ご本尊である「阿弥陀如来」の掛軸です。実は、この中央の掛軸自体も、お西とお東でデザインが異なります。

中央に祀る阿弥陀如来様の役割と意味
阿弥陀如来様は、「すべての人を漏らさず救う」という誓いを立てられた仏様です。浄土真宗のご本尊として、お仏壇の最上段、中央という最も尊い場所に安置されます。掛軸に描かれた阿弥陀如来様は、一歩前に踏み出したお姿(立像)で描かれることが一般的ですが、これは「苦しんでいる人を一刻も早く救いに行こう」という如来様の慈悲の心を表しています。私たちが手を合わせる時、そこには常に如来様の温かな眼差しがあります。中央の掛軸を正しく選ぶことは、その慈悲の空間を家庭内に確立することを意味しており、飾り方の中心軸となる非常に重要なプロセスです。
お西(8本)とお東(6本)を見分ける「後光」の法則
一見すると同じように見える阿弥陀如来様の絵像ですが、本願寺派(お西)と真宗大谷派(お東)には、誰でも一目で見分けられる決定的な違いがあります。それは、如来様の背後から放たれている光の筋、すなわち「後光(ごこう)」の本数です。
- 本願寺派(お西): 阿弥陀如来様の後光が、上に向かって「8本」描かれています。
- 真宗大谷派(お東): 阿弥陀如来様の後光が、上に向かって「6本」描かれています。
この違いを知っていれば、お手持ちの掛軸や検討中の商品がどちらの宗派のものか、瞬時に判別することが可能です。ご本尊は、左右の脇掛とセットで揃えるのが基本ですので、この本数の違いは必ずチェックしてください。
現代仏壇に合わせた適切なサイズと配置の重要性
掛軸を選ぶ際、デザインと同じくらい重要なのが「サイズ」です。特に最近主流となっているモダン仏壇や家具調仏壇は、内部の寸法が非常にコンパクトに設計されています。せっかく立派な掛軸を購入しても、仏壇の天井に当たってしまったり、左右の脇掛と重なって窮屈に見えてしまっては、せっかくの荘厳が台無しです。掛軸を掛ける際には、上部の紐のゆとりや、下部の「軸先」までの長さを正確に把握し、仏壇の空間に対して美しい余白が生まれるように配置しなければなりません。新川崎雲山堂では、お客様の仏壇をミリ単位で採寸し、ご本尊が最も尊く、美しく見える最適なサイズをご提案しています。
[浄土真宗のお仏壇に関するご相談は、新川崎雲山堂へ]
3. 【脇掛】左右の掛軸の種類と正しい配置(お西・お東)
中央に阿弥陀如来様を配したら、その左右に「脇掛(わきがけ)」を飾ります。ここでも、お西とお東で用いる種類が全く異なります。
本願寺派(お西)の脇掛:親鸞聖人と蓮如上人の絵像
本願寺派(お西)の場合、中央の阿弥陀如来様を挟んで、二人の高僧の絵像を飾ります。
- 向かって右側: 宗祖である「親鸞聖人(しんらんしょうにん)」の御影。
- 向かって左側: 中興の祖とされる「蓮如上人(れんにょしょうにん)」の御影。
お西では、このように人物のお姿を丁寧に描いた「絵像」を用いるのが正式な形です。親鸞聖人は浄土真宗の教えを説き明かされた方であり、蓮如上人はその教えを戦乱の世に広く伝え、現在の本願寺の基盤を作られた方です。このお三方を正しく配置することで、本願寺派としての尊い空間が完成します。
真宗大谷派(お東)の脇掛:十字名号と九字名号の意味
真宗大谷派(お東)では、左右の脇掛に「名号(みょうごう)」と呼ばれる、文字の掛軸を用いるのが一般的です。
- 向かって右側: 「帰命尽十方無碍光如来(きみょうじんじっぽうむげこうにょらい)」の十字名号。
- 向かって左側: 「南無不可思議光如来(なむふかしぎこうにょらい)」の九字名号。
文字の掛軸は、如来様の徳や教えを言葉で表したものであり、お東の伝統的な美意識を象徴しています。文字の数を数えることで「右が十文字(十字名号)」「左が九文字(九字名号)」と覚えるのが、間違えないためのコツです。文字の力強さや墨の風合い、それを引き立てる表装の美しさが、お東のお内仏に静謐な空気感をもたらします。
4. 長く受け継ぐための掛軸の品質:表装と彩色絵のこだわり
掛軸は一度お迎えすれば、何十年、あるいは世代を超えて受け継がれる「家の宝」となります。そのため、品質の見極めにはこだわりが必要です。
表装(仕立て)の美しさと耐久性が生む品格
掛軸の品質を大きく左右するのが「表装(ひょうそう)」です。これは、中央の絵や文字を囲む布地や仕立ての技術を指します。良質な掛軸には、正絹(しょうけん)や金襴(きんらん)といった格調高い生地が使われており、これらが時の経過とともに深みを増していきます。優れた表装は、単に美しいだけでなく、湿気による反りや乾燥によるひび割れを防ぐ耐久性も備えています。職人が一つひとつ手作業で糊付けし、丁寧に仕立てた掛軸は、仏壇の中に飾られた際にピンと真っすぐに下がり、空間に凛とした緊張感と品格を与えてくれます。
職人の技が光る「彩色絵」の精神性と美意識
中央の阿弥陀如来様や、お西の脇掛(親鸞聖人・蓮如上人)の「彩色絵(さいしきえ)」にも、品質の差が如実に現れます。安価な機械刷りのものとは違い、熟練の絵師が手描きで彩色した掛軸は、如来様の穏やかな表情、衣のひだの繊細なライン、背景のぼかしに至るまで、生命力に満ち溢れています。特に顔の表情は、毎朝手を合わせる私たちにとって最も重要な部分です。慈愛に満ちた眼差しを感じられるかどうかは、彩色技術の高さに他なりません。こうした精神性の高い美術品としての価値こそが、日々のお参りをより深いものにしてくれます。
[浄土真宗のお仏壇に関するご相談は、新川崎雲山堂へ]
5. 相談事例:マンションでの住み替えと大切な掛軸の継承
【ご相談事例:川崎市幸区在住 K様】
※プライバシー保護のため、内容は一部変更しています。
「実家の母が亡くなり、古い大きな金仏壇を引き継ぐことになりました。しかし、今の私たちのマンションには置く場所がありません。せめて、母が長年大切にしていた掛軸だけでも新しいコンパクトな仏壇で祀り続けたいのですが、可能でしょうか?」
K様のご自宅へ伺うと、そこには本願寺派(お西)の立派な掛軸がありました。長年の煤(すす)で少し古びてはいましたが、ご家族の想いが詰まった非常に尊いものです。私は二級建築士の視点から、K様のリビングの図面を確認し、最適な仏壇の設置場所をシミュレーションしました。
最大の問題は、古い掛軸が非常に大きく、市販の既製品のモダン仏壇には収まらないことでした。通常なら「新調しましょう」と勧めるところかもしれませんが、私はこの掛軸をお祀りし続けたいというK様の願いを叶えるため、仏壇内部をセミオーダーでカスタマイズすることを提案しました。仏壇内部の段の高さを調整し、大きな掛軸を折ることなく、かつ左右の脇掛とのバランスも美しく保てるように再設計したのです。
仏具についても、お西の特徴である色付の華鋲(けびょう)や、三具足をバランスよく取り入れ、モダンなインテリアの中に、浄土真宗のしきたりが正しく息づく「お内仏」を完成させました。K様からは「あきらめかけていた母の掛軸を、こんなに綺麗に飾れるなんて。毎朝、母やご先祖様と対話しているような気持ちになります」と大変喜んでいただけました。
[浄土真宗のお仏壇に関するご相談は、新川崎雲山堂へ]
6. 新川崎雲山堂が選ばれる5つの理由
大切なお仏壇や掛軸のことは、単に商品を売るだけのお店ではなく、浄土真宗の教えとお客様の生活スタイルを繋ぐ専門家にご相談ください。
- 【理由1】代表・青地による責任を持った訪問と正確な採寸
当店では、見積もり時に必ず代表の青地が直接ご自宅へお伺いします。メジャーを手に、掛軸や仏像といった「礼拝対象物」をミリ単位で採寸し、お客様のお部屋に最適なサイズと配置をその場でシミュレーションします。 - 【理由2】浄土真宗(お西・お東)に特化した深い専門知識
「何故お線香は寝かせるのか」「朱色の木蝋の意味は」といった疑問にも浄土真宗専門の立場から平易な言葉で解説します。派別による仏具の違いや正式な飾り方はもちろん、モダンな仏壇の雰囲気の中に宗派らしさを大切にする略式の飾り方まで、安心してお任せいただけます。 - 【理由3】二級建築士の資格を活かしたインテリア・仏間の提案
仏壇店としての知識に加え、建築士として図面での会話が可能です。新築やリフォームの際、設計事務所との打ち合わせに同席し、コンセント位置から和室の意匠まで、生活導線を踏まえたアドバイスを行います。 - 【理由4】安心・安全を約束する国産品質と環境基準
長く使うものだからこそ、品質には一切の妥協をしません。当社の国産仏壇は、塗料、芯材、接着剤すべてにおいて最高ランクの「F★★★★(フォースター)」規格を遵守しており、大切な掛軸を傷めないための環境品質にもこだわっています。 - 【理由5】「対面販売」と「五感」での納得感を重視
ネット通販は行わず、対面でのヒアリングを一番大切にしています。実際の仏具の質感や彩色絵の繊細さ、おりんの音色、お部屋での圧迫感などを五感で確認していただき、心から納得できる出逢いをお手伝いします。
7. よくあるご質問(Q&A)
Q. お線香を立てずに寝かせるのには、どのような意味があるのでしょうか?
A. 本山の伝統的な作法を模しており、如来様の慈悲が行き渡ることを意味します。
浄土真宗でお線香を寝かせる理由は、本山(西本願寺・東本願寺)の伝統的なお香の焚き方(常香盤)を模しており、香炉の灰の上で抹香(粉状のお香)を長期間燃やし続ける作法を、家庭用の短い線香で再現しているためです。煙や香りを長時間漂わせることで、阿弥陀如来の慈悲が行き渡ることを意味します。ご家庭の香炉の場合、長いお線香をそのまま小さい香炉に寝かせることはできませんので、香炉の大きさに合わせて、1本のお線香を2つ〜4つくらいに折って使われます。
Q. 古い掛軸を新しい仏壇に移す際、お坊さんを呼ぶ必要はありますか?
A. 今ある掛軸を移動するだけなら必須ではありませんが、新調した場合は法要を行います。
今お持ちの掛軸をそのまま別の仏壇に移すだけであれば、必ずしもお坊さんを呼ぶ必要はないとされることも多いです。ただし、古い仏壇を処分する際には「魂抜き」などの供養が必要です。また、掛軸を新しく購入した場合には、本願寺派では「入仏慶讃法要」、大谷派では「御移徙(ごいし)」などの法要を行うのが正式な作法ですので、お寺様に相談されることをおすすめします。
Q. 浄土真宗の仏壇に、お水やお茶をお供えしなくて良いというのは本当ですか?
A. はい、正式な作法ではお水やお茶はお供えしません。
浄土真宗では、極楽浄土には「八功徳水(はっくどくすい)」という清らかな水が満ち溢れていると考えられているため、改めてお供えする必要がないとされています。ただし、亡き人を偲ぶお気持ちとしてお供えされる場合は、そのお心を大切にしてください。作法を理解した上でお参りすることが、より深い心の安らぎに繋がります。
Q. 出張相談の見積もりには費用がかかりますか?
A. 伺うエリアに応じた出張費用を頂戴しておりますが、実質無料となる仕組みです。
代表の青地が直接ご自宅へ伺い、正確な診断とアドバイスを行うため、初回は費用をいただきます。ただし、その後にお仏壇のご成約をいただいた場合は、その金額を全額値引きさせていただきます。川崎・横浜・東京の近隣エリアはもちろん、少し離れたエリアでも柔軟に対応いたします。
Q. 浄土真宗(お西・お東)以外の宗派ですが、相談に乗ってもらえますか?
A. もちろん可能です。浄土真宗以外のお客様も多くいらっしゃいます。
当店は浄土真宗の専門知識が豊富ですが、他宗派の仏壇・仏具についても深い知識を持って対応しております。宗派ごとの正しい飾り方を踏まえつつ、お客様の住環境や想いに寄り添ったご提案をさせていただきますので、どうぞ安心してお問い合わせください。
[浄土真宗のお仏壇に関するご相談は、新川崎雲山堂へ]
まとめ:浄土真宗の掛軸は「安心の専門家」とともに選びましょう
浄土真宗の掛軸(ご本尊)は、あなたのご家庭に阿弥陀如来様の慈悲をお迎えするための、最も大切な存在です。お西かお東かによる後光の本数の違い、脇掛の配置、そして表装や彩色絵の品質など、一つひとつに深い意味と専門的な判断が必要となります。
お仏壇は、30年、50年、そして次の世代へと受け継がれていくものです。毎朝手を合わせるたびに「これで良かった」と思えるよう、私たち「新川崎雲山堂」が誠心誠意お手伝いさせていただきます。
掛軸の選び方や、マンションへの仏壇設置について、少しでも不安なことがあれば、どうぞお気軽にご相談ください。川崎・横浜・東京の近隣エリアはもちろん、少し離れたエリアでも、代表の青地が直接あなたのご自宅へお伺いいたします。
【お問い合わせはこちら】
お電話、または公式サイトのフォームより、皆様からのご相談を心よりお待ちしております。
[浄土真宗のお仏壇に関するご相談は、新川崎雲山堂へ]
この記事の監修者
株式会社 新川崎雲山堂 体表取締役 青地 直樹

役職: 代表取締役 / 仏師三代目
経歴:
昭和24年創業の仏壇店「雲山堂」をルーツに持つ「新川崎雲山堂」の三代目。祖父、父の背中を見て育ち、幼い頃から仏壇・仏具に触れる。大学では建築学を専攻し、住宅デザインや動線計画を学ぶ。卒業後、家業を継ぎ、仏壇業一筋の道を歩む。経営者として悩んだ経験から「お客様の心に寄り添う」ことを経営理念の中心に据え、日々お客様と向き合っている。
保有資格:
- 二級建築士
- 仏事コーディネーター
お客様へのメッセージ:
「お仏壇は、特別なものではなく、日常生活の中に溶け込み、故人と共に暮らすための大切な場所です。私たちは、お客様が心から安らぎ、自然と手を合わせたくなるような、世界に一つだけの祈りの空間を創るお手伝いをさせていただきます。どんな些細なことでも、お気軽にご相談ください。
免責事項:本記事の情報は執筆時点のものです。商品・サービスの仕様や価格、法要の慣習は地域や宗派によって異なる場合があります。




