【実家の仏壇じまい】複数の位牌はどうする?一つにまとめる方法と費用を専門家が解説

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【実家の仏壇じまい】複数の位牌はどうする?一つにまとめる方法と費用を専門家が解説

「実家を継いだけれど、仏壇が大きすぎて自宅マンションには置けない」
「両親や祖父母、先祖代々の位牌がたくさんあって、どう整理していいかわからない」

昨今、実家の片付けや「仏壇じまい」に伴い、こうしたお悩みを抱える方が増えています。特に横浜市や川崎市などの首都圏では、住宅事情の変化により、従来の大きな仏壇をそのまま引き継ぐことが難しいケースが少なくありません。

しかし、位牌は故人の魂が宿る大切な場所。「処分」するのではなく、形を変えて大切に供養し続けたいものです。

この記事では、創業から70年にわたり川崎・横浜エリアで仏壇・仏具の販売に携わってきた「新川崎雲山堂」が、増えてしまった複数の位牌を一つにまとめる方法(回出位牌など)や、その際の手順、費用相場について、専門的な視点から分かりやすく解説します。


結論:複数の位牌は「回出位牌」で一つにまとめられます

まず結論から申し上げますと、複数の位牌を一つにまとめる最も一般的な方法は、「回出位牌(くりだしいはい)」を用いることです。

ご先祖様の位牌が増えて仏壇に入りきらなくなった時や、仏壇じまいをして小さなスペースで供養を続けたい時に、この形式が選ばれます。

回出位牌(くりだしいはい)とは?

回出位牌(繰出位牌とも書きます)とは、位牌本体が箱のような構造になっており、その中に複数の札板(ふだいた)を収納できる位牌のことです。

通常、10枚前後の札板が入るようになっており、一番前の黒塗りの札板に「○○家先祖代々之霊位」などの文字を入れ、2枚目以降の白木(または塗り)の札板に、ご先祖様一人ひとりの戒名(法名)、没年月日、俗名などを記します。

また、必ずしも1枚に1名とは限りません。ご夫婦を1枚の札板に並べて記す(夫婦連名)ことや、水子や童子などを3名分まとめて1枚の札板に並べて記すことも可能です。このように柔軟に対応できる点も、回出位牌の大きな特徴です。

【回出位牌のメリット】

  • 省スペース: 複数の位牌を1基分のスペースで安置できます。
  • 個別の供養: まとめても、中の札板には一人ひとりのお名前が残るため、命日にはその方の札板を一番前に出すことで、丁寧な供養が続けられます。

まとめる方法は2通り。それぞれの特徴と選び方

位牌をまとめる方法には、大きく分けて以下の2つの選択肢があります。ご自身の供養に対する考え方や、お寺様との相談によって選びましょう。

1. 回出位牌(くりだしいはい)にする

前述の通り、箱型の位牌の中に札板を収める方法です。

  • こんな方におすすめ:
    • ご先祖様一人ひとりのお名前(戒名)をしっかり残したい方。
    • 命日やお盆には、特定のご先祖様を表に出して供養したい方。
    • 将来的にまだ位牌が増える可能性がある方。

2. 「先祖代々之霊位」の位牌にする

個別の名前を記さず、一つの位牌に「〇〇家先祖代々之霊位」と記して、すべてのご先祖様を合祀(ごうし)する方法です。

  • こんな方におすすめ:
    • 33回忌や50回忌(弔い上げ)を過ぎたご先祖様が多い方。
    • 過去帳(かこちょう)を別途作成し、記録はそちらに残す方。
    • 最もシンプルに供養をまとめたい方。

まとめるための位牌選び:主な3つの種類

新しく位牌を作り直す際、どのようなデザインや素材のものを選べばよいのでしょうか。一般的に、位牌には大きく分けて3つの種類があります。

これらは「回出位牌」であっても、通常の「本位牌」であっても、共通する分類です。

1. 塗り位牌(ぬりいはい)

最も伝統的で普及している、黒の漆塗りに金箔や金粉で装飾を施した位牌です。

  • 特徴: 高級感があり、どんな仏壇にも合わせやすい格式高いデザインです。
  • 素材: 漆、金箔、金粉など。

2. 唐木位牌(からきいはい)

黒檀(こくたん)や紫檀(したん)といった、美しく硬い銘木を使用した位牌です。

  • 特徴: 木材そのものの色や木目を活かしており、重厚感と耐久性に優れています。
  • 素材: 黒檀、紫檀などの銘木。

3. 蒔絵位牌(まきえいはい)

黒檀や紫檀といった美しく硬い銘木をベースにし、その表面に「蒔絵(まきえ)」と呼ばれる美しい絵柄を施した位牌です。

  • 特徴: 銘木ならではの重厚感と耐久性を持ちながら、桜や朝顔、秋桜などの図柄が描かれることで、優美で優しい印象を与えます。
  • 選ばれる理由: 「唐木位牌の丈夫さや高級感は残したいけれど、少し華やかさや温かみを加えたい」「真っ黒な位牌よりも、故人の雰囲気に合う優しいデザインにしたい」という方に選ばれています。

仏壇じまいと位牌の整理:具体的な4つのステップ

実際に複数の位牌を一つにまとめるには、正しい手順を踏む必要があります。勝手に処分したり捨てたりすることは絶対に避けてください。

ステップ1:菩提寺(お寺)へ相談する

位牌を新しく作り変える場合、古い位牌から魂を抜く「閉眼供養(へいがんくよう・魂抜き)」と、新しい位牌に故人の魂をお迎えする「開眼供養(かいがんくよう・魂入れ)」が必要になりますので、まずは、お付き合いのあるお寺(菩提寺)に「位牌をまとめたい」旨を相談します。

ステップ2:新しい位牌(回出位牌など)を購入する

仏壇店で新しい位牌を選び、文字入れ(名入れ)を依頼します。

  • 注意点: 製作には約2週間〜1ヶ月ほどかかります。法要の日にちに間に合うよう、早めに手配しましょう。
  • 準備するもの: まとめるご先祖様全員の「白木位牌」または「古い本位牌」の情報(戒名・没年月日・俗名・享年)が必要です。間違いがないよう、写真を撮ってお店に持参するのが確実です。場合によっては、お墓の墓碑や菩提寺の檀家情報を参照させていただくこともあります。

ステップ3:魂入れ(開眼供養)と魂抜き(閉眼供養)を行う

新しい位牌ができあがったら、お寺様に依頼して法要を行います。

  • 古い位牌: 閉眼供養(魂抜き)をして、単なる「物」に戻します。
  • 新しい位牌: 開眼供養(魂入れ)をして、故人の魂をお迎えします。
    ※これらは同日に行われることが一般的です。

ステップ4:古い位牌をお焚き上げする

魂を抜いた古い位牌は、お寺様にお焚き上げ(焼却供養)をお願いするか、仏壇店に引き取ってもらい供養処分を依頼します。


費用相場はどれくらい?

位牌をまとめる際にかかる費用の目安は以下の通りです。
※あくまで目安であり、お寺様や選ぶ位牌のグレードによって変動します。

項目 費用の目安 備考
新しい位牌の購入費 3万円 ~ 15万円以上 素材(漆、金、木材)や装飾(蒔絵など)により変動。
お寺へのお布施 3万円 ~ 7万円以上 閉眼供養・開眼供養として。お寺により異なります。
お焚き上げ費用 1万円以上(数による) お寺や業者に依頼する場合。位牌の数で変動します。
文字入れ代 数千円 / 1名あたり 回出位牌の場合、人数分の文字入れ代がかかります。

新川崎雲山堂が選ばれる理由:本物の品質へのこだわり

位牌をまとめるということは、ご先祖様の「終の棲家」を新調するということです。一度作れば、数十年、あるいは孫の代まで受け継がれるものだからこそ、「素材」と「品質」にはこだわっていただきたいと私達は考えています。

新川崎雲山堂は、以下の3つの理由から、川崎・横浜エリアのお客様に選ばれ続けています。

【理由1】素材への嘘偽りのないこだわり

安価な海外製の位牌の中には、材料名が特定できない木材を使用しているものが少なくありません。
当店の「会津塗り位牌」は、位牌に最も適した「朴木(ほおのき)」および「姫子松(ひめこまつ)」を厳選して使用しています。「この位牌の木材は何ですか?」と聞かれた際、自信を持って答えられる本物だけを取り扱っています。

【理由2】「本漆(ほんうるし)」と「本金(ほんきん)」の使用

見た目は似ていても、数年経つと違いは明らかになります。
当店では、合成樹脂塗料ではなく、天然素材である「本漆」を使用。扱いが難しく乾燥に時間はかかりますが、深く優雅な艶と耐久性は別格です。
また、仕上げには純度98%以上の本物の「金箔」「金粉」を使用。金色風の塗料とは異なり、時を経ても色褪せることなく、気品ある輝きを保ち続けます。

【理由3】創業70年の信頼と地域密着のサポート

新川崎雲山堂は、長きにわたり地域のお客様の供養をお手伝いしてまいりました。
仏事コーディネーターの資格を持つ専門スタッフが、宗派ごとの決まりごとや、地域の風習に合わせた最適なご提案をいたします。無理な販売は決して致しません。「まずは相談だけ」という方も安心してお越しください。
→専門家に位牌について相談する(新川崎雲山堂 位牌専用ページ)


よくある質問(Q&A)

位牌の整理に関して、お客様からよくいただく質問をまとめました。

Q. 回出位牌の中に何枚まで札板が入りますか?

A. 商品のサイズや厚みにもよりますが、一般的には6枚〜10枚程度の札板が入るものが多いです。現在ある位牌の数と、将来的に増える可能性を考慮して選ぶことをお勧めします。

Q. 浄土真宗ですが、位牌を作ってもいいのですか?

A. 浄土真宗では原則として位牌を用いず、「過去帳」や「法名軸」を用いるのが正式とされています。しかし、近年では「手を合わせる対象が欲しい」という理由から、お寺様の了承を得て位牌(回出位牌など)を作られる方も増えています。まずは菩提寺にご相談されるのが一番です。

Q. 位牌はネット通販で買っても大丈夫ですか?

A. ネット通販は便利ですが、位牌は長く祀る大切なものです。画面越しでは「質感」「重み」「細部の仕上げ(塗りムラがないか等)」を確認することが難しいため、可能な限り専門店で実物を見て選ぶことを強くお勧めします。特に、木材の質や漆の艶は実物でこそ違いが分かります。


まとめ:大切なのは「供養を続ける心」

実家の仏壇じまいや位牌の整理は、決して「ご先祖様をないがしろにする行為」ではありません。
現代のライフスタイルに合わせて、無理なく、そして心を込めて供養を続けていくための「前向きな選択」です。

複数の位牌を回出位牌にまとめたり、蒔絵位牌のような美しい位牌に作り変えたりすることで、リビングにも馴染む祈りの空間を作ることができます。

新川崎雲山堂では、初めての方でも安心して位牌選びができるよう、専門知識を持ったスタッフが丁寧に対応させていただきます。
川崎市・横浜市周辺で、位牌の作成や仏壇じまいについてお悩みの方は、ぜひ一度当店までご相談ください。

→専門家に位牌について相談する(新川崎雲山堂 位牌専用ページ)


この記事の監修者

株式会社 新川崎雲山堂 体表取締役 青地 直樹

役職: 代表取締役 / 仏師三代目
経歴:
昭和24年創業の仏壇店「雲山堂」をルーツに持つ「新川崎雲山堂」の三代目。祖父、父の背中を見て育ち、幼い頃から仏壇・仏具に触れる。大学では建築学を専攻し、住宅デザインや動線計画を学ぶ。卒業後、家業を継ぎ、仏壇業一筋の道を歩む。経営者として悩んだ経験から「お客様の心に寄り添う」ことを経営理念の中心に据え、日々お客様と向き合っている。
保有資格:

  • 二級建築士
  • 仏事コーディネーター

お客様へのメッセージ:
「お仏壇は、特別なものではなく、日常生活の中に溶け込み、故人と共に暮らすための大切な場所です。私たちは、お客様が心から安らぎ、自然と手を合わせたくなるような、世界に一つだけの祈りの空間を創るお手伝いをさせていただきます。どんな些細なことでも、お気軽にご相談ください。

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