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日常の業務で生まれた「ちょっとした発見や話題」を綴ります。
新川崎雲山堂 三代目当主 青地直樹のブログです。

なぜ金仏壇は浄土真宗の象徴なのか?阿弥陀如来の極楽浄土を表現する伝統工芸の粋

「なぜ、浄土真宗のお仏壇はあんなにも金色で煌びやかなのでしょうか?」

新川崎雲山堂にお越しになるお客様から、このようなご質問をいただくことがよくあります。他宗派の唐木仏壇(黒檀や紫檀などの木目を生かしたお仏壇)と比べると、その輝きは一際目を引きます。

単に「豪華だから」「高価だから」という理由ではありません。その黄金の輝きには、浄土真宗の教えそのもの(阿弥陀如来様の救いの光と極楽浄土の姿)が込められているのです。

この記事では、私たち新川崎雲山堂が長年、川崎・横浜エリアで浄土真宗のご門徒様とお話しする中で培ってきた知識と経験をもとに、金仏壇の深い意味と、後悔しない選び方について詳しく解説します。


1. 金仏壇とは何か?(浄土真宗における「お内仏」の意味)

まず、「金仏壇」の定義と、浄土真宗においてなぜそれが正式とされるのか、その根本的な理由を紐解きます。

Q. 金仏壇とはどのようなお仏壇ですか?

A. 黒塗りと金箔、錺(かざり)金具で極楽浄土を表現したお仏壇です。

金仏壇(きんぶつだん)とは、ヒノキやマツなどの木地(きじ)の上に「塗り」を施し、金箔や金粉、そして精巧な錺金具(かざりかなぐ)で仕上げられたお仏壇のことです。

かつては「塗り」といえば天然の「漆(うるし)」が主流でしたが、現在は技術の進歩により、多様な塗料が用いられています。

  • 本漆塗り: 伝統的な天然塗料。
  • ウレタン塗り: ピアノの塗装などにも使われる、耐久性と鏡面の美しさを兼ね備えた高級化学塗料。
  • カシュー塗り: 神社仏閣の塗装などでも使われる、漆に近い質感を持つ植物性樹脂塗料。

このように素材は時代とともに進化していますが、その輝きに込められた意味は変わりません。

浄土真宗では、お仏壇のことを親しみを込めて「お内仏(おないぶつ)」と呼ぶことがあります。これには「家庭内における仏堂(お寺)」という意味が込められています。つまり、お仏壇は単なる家具や収納場所ではなく、お寺の本堂をミニチュア化してご家庭にお迎えし、日々の生活の中で阿弥陀様と向き合う神聖な場所なのです。

なぜ「金色」なのか?

浄土真宗のお仏壇が金色である最大の理由は、阿弥陀如来(あみだにょらい)がいらっしゃる「極楽浄土」の世界観を視覚的に表現しているからです。

お経(『仏説阿弥陀経』など)には、極楽浄土が金・銀・瑠璃などの七宝で飾られ、光り輝く世界であると説かれています。金仏壇の輝きは、贅沢を競うものではなく、「阿弥陀様の智慧と慈悲の光があまねく照らしている様子」を私たちに見せてくれているのです。

ポイント:金仏壇は「豪華な装飾品」ではなく、「お浄土の光そのもの」を表現した信仰の形です。


2. 【図解】「お東」と「お西」で全く違う!金仏壇のデザイン比較

「浄土真宗ならどの金仏壇でも同じ」ではありません。
大きく分けて「浄土真宗本願寺派(お西)」「真宗大谷派(お東)」があり、お仏壇の内部デザイン(特に宮殿と呼ばれる屋根部分)に明確な違いがあります。

間違った様式のお仏壇を選ばないよう、以下の違いをしっかりと理解しておきましょう。

宮殿(くうでん)の違い

お仏壇内部の、ご本尊(阿弥陀如来)を安置する屋根付きの場所を「宮殿」と言います。このデザインは、それぞれの本山(お西なら西本願寺、お東なら東本願寺)の御堂を模しています。

特徴 本願寺派(お西) 大谷派(お東)
屋根の形状 一重屋根(ひとえやね)
柿葺き(こけらぶき)を模した繊細な作り。
二重屋根(ふたえやね)
瓦屋根を模した重厚な作り。
柱の装飾 金箔貼りの柱
金色の柱の上に金色の金具がつく。
黒漆塗り(黒塗り)の柱
黒い柱に金色の金具がつき、コントラストがある。
全体の印象 内部全体が黄金一色に見える煌びやかさ。 黒と金色の対比が美しい、引き締まった印象。

選び方の注意点

金仏壇をお選びになる際は、ご自身が「お東」なのか「お西」なのかを、私たち販売員にしっかりとお伝えいただくことが最も大切です。わからない場合は、お寺様のお名前や場所を教えていただければ、こちらでお調べすることも可能です。


3. 金仏壇の最大の価値は「修復して受け継げる」こと

近年、安価な仏壇やモダンな仏壇も増えていますが、伝統的な工法で作られた日本の金仏壇には、他にはない大きな特長があります。それは「お洗濯(修復)」ができるという点です。

Q. 仏壇の「お洗濯」とは何ですか?

A. お仏壇を分解・洗浄し、塗装や金箔を施工し直して新品同様に蘇らせる伝統技法です。

一部で「クリーニング」という言葉が使われることがありますが、金仏壇の「お洗濯」は表面の汚れを落とすだけの簡易なものではありません。本格的な「総塗替え修繕」のことを指します 。

お洗濯(修繕)の流れ

金仏壇は、木地、塗り、金箔、金具など、それぞれの専門職人の技が集結して作られています。「ほぞ組」や「くさび」、あるいは取り外し可能な釘を用いるなど、将来的に分解して修理することを前提とした技法で組み立てられているため、数十年後に分解して修理することができる構造になっているのです。

  1. 分解: お仏壇を部品単位までバラバラにします。
  2. 洗浄: 木地についた長年の煤(すす)や汚れを専用の洗い液で落とします。
  3. 木地修復: 傷んだ木地を補修・交換します。
  4. 下地・塗り: 新たに漆やカシューなどの塗装を施し重ねます。
  5. 金箔押し・金具メッキ: 新しい金箔を押し、金具もメッキ直しや色付けを行います。
  6. 組立: 元通りに組み立てます。

費用とメリットについて

「お洗濯は費用を抑えられる」と思われることがありますが、本格的な修繕の場合、安価な新品を購入するよりも費用がかかるケースがほとんどです。

では、なぜ多くの方がお洗濯を選ばれるのでしょうか?
それは、「ご先祖様が手を合わせてきた場所」という精神的な価値を次世代に残せるからです。5年、10年で買い替える家電とは違い、お仏壇は30年、50年、さらに次の世代へと受け継いでいくものです。

祖父母や両親が大切にしてきたお仏壇が、職人の手によって見違えるように美しくなり、また子や孫の代まで輝き続ける。これこそが、金仏壇を持つ本当の喜びであり、価値なのです。

修繕時の「魂抜き・魂入れ」について
お仏壇の修復や移動の際、「閉眼法要(魂抜き)」や「開眼法要(魂入れ)」を行うかどうかは、地域やお寺様、そしてお客様のお考えによって異なります。行う方と行わない方がいらっしゃいますので、どうするかはお客様自身が決めることです。


4. 浄土真宗のお仏壇に必須の「仏具」と飾り方

お仏壇本体と同じくらい大切なのが、中に飾る「仏具」です。浄土真宗では、ご本尊をお迎えするために特に重要とされる仏具があります。

浄土真宗の基本「三具足」と正式な「五具足」

仏教において仏具の基本となるのが、花瓶(かひん)・香炉(こうろ)・蝋燭立(ろうそくたて)の3種類です。

  • 五具足(ごぐそく)=正式な飾り方
    蝋燭立と花瓶をそれぞれ1対(2つずつ)用意し、中央の香炉と合わせて計5点で飾るのが最も正式な形です。
  • 三具足(みつぐそく)=一般的な飾り方
    お仏壇のスペースの兼ね合いもあり、向かって左に花瓶、中央に香炉、右に蝋燭立を1つずつ置く「三具足」で飾るのが一般的です。

「お東」と「お西」の仏具の違い

お仏壇のデザイン同様、仏具にも宗派による明確な違いがあります。

真宗大谷派(お東)の仏具

  • 色・素材: 金色(真鍮製磨き仕上げ、または金メッキ)。
  • 蝋燭立: 「鶴亀(つるかめ)」と呼ばれるデザイン。亀の背中に鶴が乗り、蓮をくわえた姿をしています。
  • 香炉(線香用): 下記「香炉の使い分け」を参照。

浄土真宗本願寺派(お西)の仏具

  • 色・素材: 黒っぽい茶褐色(宣徳色)。焼き付けや煮色という技法で色付けされます。
  • 蝋燭立: 落ち着いた色合いで、足元は3本脚になっており、鳥の頭が向かい合わせになっているような独特なデザインです。
  • 香炉(線香用): 下記「香炉の使い分け」を参照。

【重要】香炉の使い分けについて

三具足・五具足に含まれる金属製の香炉は、サイズが小さいため、現代では「飾り」として中段に置くことが多くなっています。

実際にお線香を焚く際には、土香炉(どこうろ)と呼ばれる青磁(陶器)の香炉を使用するのが一般的です。この土香炉にも宗派による違いがあります。

  • 本願寺派(お西): 丸みのある形をした「玉香炉(たまこうろ)」を使用します。
  • 真宗大谷派(お東): 透かし模様が入った「透かし香炉(すかしこうろ)」を使用します。

お水やお茶は供えないの?

他宗派ではお水やお茶をお供えしますが、浄土真宗の正式な飾り方では、お水やお茶はお供えしません
これは、「極楽浄土には清らかな八功徳水(はっくどくすい)という水が豊かに湧き出ているため、こちらから差し上げる必要がない」と考えられているからです。

ただし、ご家庭の習慣や、「暑いからお水をあげたい」という優しいお気持ちで供えられることを否定するものではありません。ご自身が一番しっくりくる形(心安らぐ形)で向き合っていただくことが大切です。

[浄土真宗のお仏壇に関するご相談は、新川崎雲山堂へ] 


5. 失敗しない金仏壇選び:ネット通販ではなく「対面」を推奨する理由

現代ではインターネットでお仏壇を購入することも可能になりました。しかし、新川崎雲山堂では、あえてネット通販を行わず、対面販売にこだわり続けています

なぜなら、お仏壇選びで最も大切なのは、スペックや価格の比較ではなく、「お客様の暮らしや心にフィットするかどうか」だからです。

インターネットだけでは分からない「五感」の重要性

お仏壇は、これから毎朝手を合わせ、30年、50年と付き合っていくものです。画面越しの情報だけでは、以下のような「本質的な相性」を確認することができません。

  • 金箔や塗りの質感: 写真では伝わらない、本物の輝きや重厚感、職人の手仕事の跡、深みと光沢のある特有の塗肌と艶。
  • 調和と立体感: 実際の仏壇の中に仏具を並べて初めて分かる「お仏壇と仏具の調和」や、画面では決して分からない奥行きや立体的な配置のバランス。
  • リンの音色: 毎日聞く音が、ご自身の心に安らぎを与える音色かどうか。

これらを五感で感じて選んでいただくことが、購入後の「後悔」や「モヤモヤ」を無くす唯一の方法です。

専門スタッフによる「ヒアリング」と「カスタマイズ」

当店では、お客様のお話をじっくり伺うヒアリングを何より大切にしています。

  • 「猫ちゃんがいるから、火を使わないLEDローソクの方が安全では?」
  • 「マンションのリビングに置くなら、伝統的な金仏壇も素敵ですが、モダンなデザインの中にも浄土真宗らしさを取り入れたカスタマイズもできますよ」
  • 「お部屋のこの位置に、この向きで置くのが生活動線としてもスムーズです」

このように、お客様一人ひとりの生活スタイルや、ご家族を想う気持ちに寄り添い、プロの視点で「ベストな祈りの空間」をご提案します。悲しみの中にいらっしゃるお客様が、細部まで気が回らないのは当然のことです。私たちがその分まで丁寧にサポートさせていただきます。


6. よくあるご質問(FAQ)

浄土真宗のお仏壇選びについて、お客様からよくいただく質問をQ&A形式でまとめました。

Q. マンション住まいです。金仏壇ではなく「モダン仏壇」でも良いですか?

A. はい、問題ありません。大切なのは「お内仏」としての心を整えることです。
近年は住宅事情により、金仏壇を置くスペースがないご家庭も増えています。その場合は、リビングの雰囲気に合う「モダン仏壇(家具調仏壇)」をお選びいただいて構いません。
ただし、仏壇本体がモダンであっても、中のご本尊や仏具の飾り方で「浄土真宗らしさ」を大切にすることをおすすめします。
※なお、「壁掛けタイプ」のモダン仏壇も存在しますが、壁の強度の問題や一般的ではない点から、当店では慎重にご検討いただくようお伝えしております。

Q. ご本尊は「仏像」と「掛軸」どちらが良いですか?

A. 浄土真宗では「掛軸」でお祀りすることが推奨されています。
お仏壇中央のご本尊(阿弥陀如来)は、仏像ではなく掛軸(絵像)をご用意いただくのが正式とされています。
本山(西本願寺・東本願寺)から受ける「免物(めんもつ)」や「授与品」が最も正式ですが、仏壇店で販売されている掛軸でも構いません。迷われた場合は、菩提寺にご相談されることをおすすめします。

Q. 浄土真宗ですが、お位牌を作っても良いのでしょうか?

A. 宗派としては「過去帳」を用いますが、お気持ちで作られる方もいらっしゃいます。
浄土真宗の教義では、亡くなった方はすぐに極楽浄土で仏様に生まれ変わるとされるため、魂が宿るとされる「位牌」は原則として用いません。代わりに、名前や没年月日を記す「過去帳(かこちょう)」「法名軸(ほうみょうじく)」を用います。
しかし、「手を合わせる対象としてお位牌が欲しい」というお気持ちも大切にすべきものです。実際にはお位牌を作られるご門徒様も少なくありません。お寺様によってお考えが異なりますので、一度ご相談されるのが良いでしょう。

Q. 実家の古いお仏壇を処分したいのですが…

A. 「お仏壇の供養処分」として承ります。
引っ越しや継承者の問題で、やむを得ずお仏壇を手放すことを「お仏壇じまい」と呼ぶことがありますが(※商標の関係で、当店では「お仏壇の供養処分」と表現しています)、これには閉眼法要(魂抜き)やお焚き上げなどの手続きが伴います。
これらも「必須」というわけではなく、お客様のお気持ちやお寺様の方針によりますが、粗大ゴミとして捨てるのではなく、最後まで感謝を込めて手放すためのお手伝いをさせていただきます。


まとめ:川崎・横浜で浄土真宗のお仏壇をお探しなら

金仏壇は、単なる高価な工芸品ではありません。それは、阿弥陀如来の光り輝く極楽浄土を、職人の技(塗り、金箔、金具)で現世に表現した、浄土真宗の信仰の証です。

  • お東とお西の違い(仏具や香炉の種類含む)を正しく理解し、
  • お洗濯(修復)によって世代を超えて受け継ぐことができ、
  • 正式な仏具でお飾りすることで、心の拠り所となります。

私たち新川崎雲山堂は、インターネットの画面越しではなく、お客様と直接お会いして、目を見てお話しすることを何よりも大切にしています。
「素材の質感は?」「お仏壇と仏具の立体的な調和は?」「リンの音色は?」
これらを五感で確かめ、心から納得できる「一生もの」の出会いを見つけていただきたいからです。

「初めての仏壇選びで、何から聞けばいいかわからない」
そんな方も、どうぞ安心してお越しください。代表の青地をはじめ、経験豊富なスタッフが、お客様の不安や疑問を一つひとつ解消いたします。

まずはお気軽にご来店、またはお電話でご相談ください。
お客様とご先祖様をつなぐ大切な場所づくりを、私たちが全力でお手伝いさせていただきます。

[浄土真宗のお仏壇に関するご相談は、新川崎雲山堂へ] 


この記事の監修者

株式会社 新川崎雲山堂 体表取締役 青地 直樹

役職: 代表取締役 / 仏師三代目
経歴:
昭和24年創業の仏壇店「雲山堂」をルーツに持つ「新川崎雲山堂」の三代目。祖父、父の背中を見て育ち、幼い頃から仏壇・仏具に触れる。大学では建築学を専攻し、住宅デザインや動線計画を学ぶ。卒業後、家業を継ぎ、仏壇業一筋の道を歩む。経営者として悩んだ経験から「お客様の心に寄り添う」ことを経営理念の中心に据え、日々お客様と向き合っている。
保有資格:

  • 二級建築士
  • 仏事コーディネーター

お客様へのメッセージ:
「お仏壇は、特別なものではなく、日常生活の中に溶け込み、故人と共に暮らすための大切な場所です。私たちは、お客様が心から安らぎ、自然と手を合わせたくなるような、世界に一つだけの祈りの空間を創るお手伝いをさせていただきます。どんな些細なことでも、お気軽にご相談ください。

【実家の仏壇じまい】複数の位牌はどうする?一つにまとめる方法と費用を専門家が解説

「実家を継いだけれど、仏壇が大きすぎて自宅マンションには置けない」
「両親や祖父母、先祖代々の位牌がたくさんあって、どう整理していいかわからない」

昨今、実家の片付けや「仏壇じまい」に伴い、こうしたお悩みを抱える方が増えています。特に横浜市や川崎市などの首都圏では、住宅事情の変化により、従来の大きな仏壇をそのまま引き継ぐことが難しいケースが少なくありません。

しかし、位牌は故人の魂が宿る大切な場所。「処分」するのではなく、形を変えて大切に供養し続けたいものです。

この記事では、創業から70年にわたり川崎・横浜エリアで仏壇・仏具の販売に携わってきた「新川崎雲山堂」が、増えてしまった複数の位牌を一つにまとめる方法(回出位牌など)や、その際の手順、費用相場について、専門的な視点から分かりやすく解説します。


結論:複数の位牌は「回出位牌」で一つにまとめられます

まず結論から申し上げますと、複数の位牌を一つにまとめる最も一般的な方法は、「回出位牌(くりだしいはい)」を用いることです。

ご先祖様の位牌が増えて仏壇に入りきらなくなった時や、仏壇じまいをして小さなスペースで供養を続けたい時に、この形式が選ばれます。

回出位牌(くりだしいはい)とは?

回出位牌(繰出位牌とも書きます)とは、位牌本体が箱のような構造になっており、その中に複数の札板(ふだいた)を収納できる位牌のことです。

通常、10枚前後の札板が入るようになっており、一番前の黒塗りの札板に「○○家先祖代々之霊位」などの文字を入れ、2枚目以降の白木(または塗り)の札板に、ご先祖様一人ひとりの戒名(法名)、没年月日、俗名などを記します。

また、必ずしも1枚に1名とは限りません。ご夫婦を1枚の札板に並べて記す(夫婦連名)ことや、水子や童子などを3名分まとめて1枚の札板に並べて記すことも可能です。このように柔軟に対応できる点も、回出位牌の大きな特徴です。

【回出位牌のメリット】

  • 省スペース: 複数の位牌を1基分のスペースで安置できます。
  • 個別の供養: まとめても、中の札板には一人ひとりのお名前が残るため、命日にはその方の札板を一番前に出すことで、丁寧な供養が続けられます。

まとめる方法は2通り。それぞれの特徴と選び方

位牌をまとめる方法には、大きく分けて以下の2つの選択肢があります。ご自身の供養に対する考え方や、お寺様との相談によって選びましょう。

1. 回出位牌(くりだしいはい)にする

前述の通り、箱型の位牌の中に札板を収める方法です。

  • こんな方におすすめ:
    • ご先祖様一人ひとりのお名前(戒名)をしっかり残したい方。
    • 命日やお盆には、特定のご先祖様を表に出して供養したい方。
    • 将来的にまだ位牌が増える可能性がある方。

2. 「先祖代々之霊位」の位牌にする

個別の名前を記さず、一つの位牌に「〇〇家先祖代々之霊位」と記して、すべてのご先祖様を合祀(ごうし)する方法です。

  • こんな方におすすめ:
    • 33回忌や50回忌(弔い上げ)を過ぎたご先祖様が多い方。
    • 過去帳(かこちょう)を別途作成し、記録はそちらに残す方。
    • 最もシンプルに供養をまとめたい方。

まとめるための位牌選び:主な3つの種類

新しく位牌を作り直す際、どのようなデザインや素材のものを選べばよいのでしょうか。一般的に、位牌には大きく分けて3つの種類があります。

これらは「回出位牌」であっても、通常の「本位牌」であっても、共通する分類です。

1. 塗り位牌(ぬりいはい)

最も伝統的で普及している、黒の漆塗りに金箔や金粉で装飾を施した位牌です。

  • 特徴: 高級感があり、どんな仏壇にも合わせやすい格式高いデザインです。
  • 素材: 漆、金箔、金粉など。

2. 唐木位牌(からきいはい)

黒檀(こくたん)や紫檀(したん)といった、美しく硬い銘木を使用した位牌です。

  • 特徴: 木材そのものの色や木目を活かしており、重厚感と耐久性に優れています。
  • 素材: 黒檀、紫檀などの銘木。

3. 蒔絵位牌(まきえいはい)

黒檀や紫檀といった美しく硬い銘木をベースにし、その表面に「蒔絵(まきえ)」と呼ばれる美しい絵柄を施した位牌です。

  • 特徴: 銘木ならではの重厚感と耐久性を持ちながら、桜や朝顔、秋桜などの図柄が描かれることで、優美で優しい印象を与えます。
  • 選ばれる理由: 「唐木位牌の丈夫さや高級感は残したいけれど、少し華やかさや温かみを加えたい」「真っ黒な位牌よりも、故人の雰囲気に合う優しいデザインにしたい」という方に選ばれています。

仏壇じまいと位牌の整理:具体的な4つのステップ

実際に複数の位牌を一つにまとめるには、正しい手順を踏む必要があります。勝手に処分したり捨てたりすることは絶対に避けてください。

ステップ1:菩提寺(お寺)へ相談する

位牌を新しく作り変える場合、古い位牌から魂を抜く「閉眼供養(へいがんくよう・魂抜き)」と、新しい位牌に故人の魂をお迎えする「開眼供養(かいがんくよう・魂入れ)」が必要になりますので、まずは、お付き合いのあるお寺(菩提寺)に「位牌をまとめたい」旨を相談します。

ステップ2:新しい位牌(回出位牌など)を購入する

仏壇店で新しい位牌を選び、文字入れ(名入れ)を依頼します。

  • 注意点: 製作には約2週間〜1ヶ月ほどかかります。法要の日にちに間に合うよう、早めに手配しましょう。
  • 準備するもの: まとめるご先祖様全員の「白木位牌」または「古い本位牌」の情報(戒名・没年月日・俗名・享年)が必要です。間違いがないよう、写真を撮ってお店に持参するのが確実です。場合によっては、お墓の墓碑や菩提寺の檀家情報を参照させていただくこともあります。

ステップ3:魂入れ(開眼供養)と魂抜き(閉眼供養)を行う

新しい位牌ができあがったら、お寺様に依頼して法要を行います。

  • 古い位牌: 閉眼供養(魂抜き)をして、単なる「物」に戻します。
  • 新しい位牌: 開眼供養(魂入れ)をして、故人の魂をお迎えします。
    ※これらは同日に行われることが一般的です。

ステップ4:古い位牌をお焚き上げする

魂を抜いた古い位牌は、お寺様にお焚き上げ(焼却供養)をお願いするか、仏壇店に引き取ってもらい供養処分を依頼します。


費用相場はどれくらい?

位牌をまとめる際にかかる費用の目安は以下の通りです。
※あくまで目安であり、お寺様や選ぶ位牌のグレードによって変動します。

項目 費用の目安 備考
新しい位牌の購入費 3万円 ~ 15万円以上 素材(漆、金、木材)や装飾(蒔絵など)により変動。
お寺へのお布施 3万円 ~ 7万円以上 閉眼供養・開眼供養として。お寺により異なります。
お焚き上げ費用 1万円以上(数による) お寺や業者に依頼する場合。位牌の数で変動します。
文字入れ代 数千円 / 1名あたり 回出位牌の場合、人数分の文字入れ代がかかります。

新川崎雲山堂が選ばれる理由:本物の品質へのこだわり

位牌をまとめるということは、ご先祖様の「終の棲家」を新調するということです。一度作れば、数十年、あるいは孫の代まで受け継がれるものだからこそ、「素材」と「品質」にはこだわっていただきたいと私達は考えています。

新川崎雲山堂は、以下の3つの理由から、川崎・横浜エリアのお客様に選ばれ続けています。

【理由1】素材への嘘偽りのないこだわり

安価な海外製の位牌の中には、材料名が特定できない木材を使用しているものが少なくありません。
当店の「会津塗り位牌」は、位牌に最も適した「朴木(ほおのき)」および「姫子松(ひめこまつ)」を厳選して使用しています。「この位牌の木材は何ですか?」と聞かれた際、自信を持って答えられる本物だけを取り扱っています。

【理由2】「本漆(ほんうるし)」と「本金(ほんきん)」の使用

見た目は似ていても、数年経つと違いは明らかになります。
当店では、合成樹脂塗料ではなく、天然素材である「本漆」を使用。扱いが難しく乾燥に時間はかかりますが、深く優雅な艶と耐久性は別格です。
また、仕上げには純度98%以上の本物の「金箔」「金粉」を使用。金色風の塗料とは異なり、時を経ても色褪せることなく、気品ある輝きを保ち続けます。

【理由3】創業70年の信頼と地域密着のサポート

新川崎雲山堂は、長きにわたり地域のお客様の供養をお手伝いしてまいりました。
仏事コーディネーターの資格を持つ専門スタッフが、宗派ごとの決まりごとや、地域の風習に合わせた最適なご提案をいたします。無理な販売は決して致しません。「まずは相談だけ」という方も安心してお越しください。
→専門家に位牌について相談する(新川崎雲山堂 位牌専用ページ)


よくある質問(Q&A)

位牌の整理に関して、お客様からよくいただく質問をまとめました。

Q. 回出位牌の中に何枚まで札板が入りますか?

A. 商品のサイズや厚みにもよりますが、一般的には6枚〜10枚程度の札板が入るものが多いです。現在ある位牌の数と、将来的に増える可能性を考慮して選ぶことをお勧めします。

Q. 浄土真宗ですが、位牌を作ってもいいのですか?

A. 浄土真宗では原則として位牌を用いず、「過去帳」や「法名軸」を用いるのが正式とされています。しかし、近年では「手を合わせる対象が欲しい」という理由から、お寺様の了承を得て位牌(回出位牌など)を作られる方も増えています。まずは菩提寺にご相談されるのが一番です。

Q. 位牌はネット通販で買っても大丈夫ですか?

A. ネット通販は便利ですが、位牌は長く祀る大切なものです。画面越しでは「質感」「重み」「細部の仕上げ(塗りムラがないか等)」を確認することが難しいため、可能な限り専門店で実物を見て選ぶことを強くお勧めします。特に、木材の質や漆の艶は実物でこそ違いが分かります。


まとめ:大切なのは「供養を続ける心」

実家の仏壇じまいや位牌の整理は、決して「ご先祖様をないがしろにする行為」ではありません。
現代のライフスタイルに合わせて、無理なく、そして心を込めて供養を続けていくための「前向きな選択」です。

複数の位牌を回出位牌にまとめたり、蒔絵位牌のような美しい位牌に作り変えたりすることで、リビングにも馴染む祈りの空間を作ることができます。

新川崎雲山堂では、初めての方でも安心して位牌選びができるよう、専門知識を持ったスタッフが丁寧に対応させていただきます。
川崎市・横浜市周辺で、位牌の作成や仏壇じまいについてお悩みの方は、ぜひ一度当店までご相談ください。

→専門家に位牌について相談する(新川崎雲山堂 位牌専用ページ)


この記事の監修者

株式会社 新川崎雲山堂 体表取締役 青地 直樹

役職: 代表取締役 / 仏師三代目
経歴:
昭和24年創業の仏壇店「雲山堂」をルーツに持つ「新川崎雲山堂」の三代目。祖父、父の背中を見て育ち、幼い頃から仏壇・仏具に触れる。大学では建築学を専攻し、住宅デザインや動線計画を学ぶ。卒業後、家業を継ぎ、仏壇業一筋の道を歩む。経営者として悩んだ経験から「お客様の心に寄り添う」ことを経営理念の中心に据え、日々お客様と向き合っている。
保有資格:

  • 二級建築士
  • 仏事コーディネーター

お客様へのメッセージ:
「お仏壇は、特別なものではなく、日常生活の中に溶け込み、故人と共に暮らすための大切な場所です。私たちは、お客様が心から安らぎ、自然と手を合わせたくなるような、世界に一つだけの祈りの空間を創るお手伝いをさせていただきます。どんな些細なことでも、お気軽にご相談ください。

職人が解説!金仏壇の価値を100年保つ「総塗替え修繕」とは?費用と全工程のすべて

職人が解説!金仏壇の価値を100年保つ「総塗替え修繕」とは?費用と全工程のすべて

「先祖から受け継いできた大切な金仏壇。長年の時間と共に、すすけて金箔も剥がれてきてしまった…。」
「ただ綺麗にするだけでなく、本来の価値を取り戻し、次の世代にもきちんと受け継いでいきたい。」
「でも、修理と言ってもどこに頼めばいいのか、費用がいくらかかるのか全く見当もつかない…。」

このようにお考えではないでしょうか。

お手元にある金仏壇は、単なる仏具ではありません。それは、塗装、金箔、木工、彫刻、金具といった日本の伝統工芸技術の粋を集めた「工芸品」であり、ご家族の歴史そのものです。

こんにちは。川崎市で70年以上続く仏壇店「新川崎雲山堂」で仏師三代目を務めます、青地直樹と申します。 私たちはこれまで、数多くのお仏壇、そしてお寺様の仏具の修復に携わってまいりました。

この記事では、そんなお仏壇の専門家である私たちが、金仏壇の輝きと価値を未来永劫に受け継ぐための最高レベルの修復技術「総塗替え修繕(そうぬりかえしゅうぜん)」について、その全貌を徹底的に解説します。

この記事を最後までお読みいただければ、以下のことが明確になります。

  • 「総塗替え修繕」と「クリーニング」の決定的な違い
  • 職人が行う修繕の全工程を解説
  • 費用の相場と、なぜ高価なのかという本当の理由
  • 後悔しないための、信頼できる修繕業者の見極め方

一生に一度の大切な修復だからこそ、正しい知識を身につけ、心から満足のいく選択をしていただきたい。そんな想いで、専門家の視点から余すところなくお伝えします。

第1章:そもそも「総塗替え修繕」とは?クリーニングとの決定的な違い

お仏壇を綺麗にする方法として、大きく分けて「クリーニング」と「総塗替え修繕」の2つがあります。しかし、この2つは目的も内容も全く異なるものです。まずは、その違いを明確に理解することから始めましょう。

Q. 仏壇の「総塗替え修繕」とは何ですか?

A. 「総塗替え修繕」とは、お仏壇を一度すべての部品にまで完全に分解し、長年の汚れや古い塗装を特殊な技術で洗い流し、傷んだ木地を補修した上で、塗装、金箔押しなどの工程をすべて一からやり直す、最も高度で包括的な修復技術です。

職人の間では、敬意を込めて「お洗濯(おせんたく)」とも呼ばれます。文字通り、お仏壇を丸洗いして生まれ変わらせる、最高峰のメンテナンスです。

Q. 「総塗替え修繕」と「クリーニング」の決定的な違いは何ですか?

A. 最も大きな違いは、「お仏壇を分解するか、しないか」という点です。クリーニングはあくまで表面的な「掃除」の延長線上にあるのに対し、総塗替え修繕は内部構造にまで手を入れる根本的な「分解修理」です。

比較項目 総塗替え修繕(お洗濯) クリーニング
目的 新品同様の状態に復元し、次の50年、100年先へと価値を受け継ぐ。 日常的な汚れを除去し、一時的に美観を回復させる。
作業内容 完全分解し、洗浄、木地補修、塗装、金箔押し、金具修復など全工程を実施。 分解はせず、専用の薬品などで表面の煤や埃を拭き取る。
修復範囲 表面だけでなく、目に見えない内部構造(根っこの部分)の傷みまで修復。 表面の汚れのみ。内部の劣化や木地の傷みは修復不可。
費用目安 100万円~ ※お仏壇のサイズや状態で大きく変動 10万円~
期間目安 最低でも3~4ヶ月以上 数日~2週間程度
おすすめの方 ・金箔の剥がれや塗装の劣化が激しい
・部品の破損や歪みがある
・次の世代へ最高の状態で受け継ぎたい
・購入から年数が浅い(10~20年程度)
・傷みはなく、表面の汚れが気になる

相田みつをさんの「花を支える枝 枝を支える幹 幹を支える根 根はみえねんだなぁ」という詩があります。 お仏壇も同じで、扉の歪みや金箔の剥がれといった目に見える不具合がある場合、その内部、つまり根っこの部分には同等かそれ以上の傷みが隠れていることがほとんどです。

クリーニングで表面だけを綺麗にしても、内部の劣化は進行し続けます。50年、100年先を見据えるならば、この「根っこの部分」までケアできる「総塗替え修繕」が唯一の選択肢となるのです。

第2章:金仏壇の「総塗替え修繕」の職人が行う全工程を徹底解説

では、具体的に「総塗替え修繕」はどのように行われるのでしょうか。ここでは、伝統技法を受け継ぐ専門職人たちの仕事と共に、その全工程を順を追ってご紹介します。お仏壇の修復は、木地師、塗師、金箔押師、宮殿師、彫刻師、蒔絵師、飾り金具師で「七職(しちしょく)」と呼ばれる、各分野の専門家の連携によって成り立っています。

【工程1】お預かりと修復前の状態確認

まず、専門のスタッフがご自宅へ伺い、お仏壇の状態を拝見します。その後、丁重にお仏壇をお預かりし、工房へと運びます。工房では、修復前の状態を細かく写真に記録し、どの部分にどのような傷みがあるかを正確に把握します。この記録が、後の修復作業の重要な指針となります。

【工程2】解体・分解

ここからが職人の腕の見せ所です。お仏壇は、私たちが思う以上に多くの部品で構成されています。外扉、内障子、欄間(らんま)の彫刻、宮殿(くうでん)、柱、台座…。これらを、木材を出来るだけ傷つけないよう、くさびや古い釘を一つひとつ丁寧に取り外し、完全に分解していきます。 打ち付けられている飾り金具も、すべて慎重に取り外します。

この分解作業を丁寧に行えるかどうかが、最終的な仕上がりを大きく左右する、非常に重要な工程です。

【工程3】洗浄(洗い)

分解された各部品は、「洗い場」と呼ばれる場所で、長年蓄積された煤(すす)や埃、ロウ、線香のヤニなどを専門の薬品や洗浄剤を使って洗い流していきます。 木材の種類や汚れの種類に応じて薬品を使い分ける、経験と知識が求められる作業です。この工程を経ることで、木地本来の姿が現れます。

【工程4】木地補修(木地師の仕事)

洗浄によって綺麗になった木地は、木地師(きじし)によって細かく点検されます。 ここで、「腐れ」や「虫食い」、長年の湿気でスポンジのようにスカスカになった部分など、目に見えなかった内部の傷みが発見されることも少なくありません。

木地師は、傷んだ部分を削り取って新しい木材を埋め込む「木地寄せ」や、特殊な補強材で強化するなどして、お仏壇の骨格となる木地を健全な状態に蘇らせます。まさに、お仏壇の「外科手術」とも言える工程です。

【工程5】塗装(塗師の仕事)

木地が完璧な状態になったら、塗師(ぬし)による塗装の工程に入ります。金仏壇の塗装には、伝統的な漆塗りのほか、ピアノの塗装にも用いられる高級ウレタン塗り、神社仏閣で使われるカシュー塗りなど、お仏壇の種類やご予算に応じた様々な技法があります。

どの塗装方法であっても、下地塗り、中塗り、上塗りと、性質の異なる塗料を何度も何度も塗り重ねていきます。 刷毛の跡が残らないよう均一に塗り、それぞれの塗料に最適な温度・湿度が管理された専門の乾燥室でゆっくりと乾かします。

この気の遠くなるような作業を繰り返すことで、あの吸い込まれるような深みと艶のある塗りが完成するのです。

【工程6】金箔押し(金箔押師の仕事)

塗装が完全に乾いたら、いよいよ金仏壇のハイライトである金箔押しの工程です。金箔押師(きんぱくおしし)が、塗料を接着剤代わりにして、厚さ1万分の1ミリという極めて薄い金箔を、息を殺しながら一枚一枚丁寧に貼り付けていきます。

私たちが使用するのは、国内生産量の99%以上を占める「金沢金箔」。 熟練の職人の手によって寸分の狂いなく押された金箔は、お仏壇に荘厳な輝きを与えます。

【工程7】蒔絵・彫刻・金具の修復(蒔絵師・彫刻師・飾り金具師・宮殿師の仕事)

お仏壇を彩る各パーツも、専門の職人が修復します。

  • 蒔絵師(まきえし):漆で描いた絵柄に金粉や銀粉を蒔いて装飾する「蒔絵」を修復・再現します。
  • 彫刻師(ちょうこくし):欠けたり割れたりした欄間や柱の彫刻を、元のデザインに合わせて彫り直し、修復します。
  • 飾り金具師(かざりかなぐし):取り外した飾り金具の錆を落として磨き上げ、必要であれば鍍金(めっき)を施し、新品同様の輝きを取り戻します。
  • 宮殿師(くうでんし):お仏壇内部の宮殿(ご本尊様をお祀りする場所)の屋根や桝組みなど、複雑な構造部分の修復を専門に担当します。

これらの職人たちの連携によって、お仏壇の細部にまで命が吹き込まれていきます。

【工程8】組み立て(木地師の仕事)

すべての部品の修復が完了したら、最終工程である組み立てです。分解を行った木地師が、その構造を最も熟知している責任者として、一つひとつの部品を寸分の狂いなく組み上げていきます。

こうして、多くの職人の手を経て、お仏壇はかつての輝きを取り戻し、ご家族の元へと帰るのです。

第3章:なぜ「総塗替え修繕」は高価なのか?料金の内訳と本当の価値

これだけの工程を経て行われる「総塗替え修繕」は、決して安価なものではありません。しかし、その価格には、単なる作業費以上の深い理由と価値があります。

Q. 総塗替え修繕の費用相場はいくらですか?

A. お仏壇の大きさ、形状、傷みの状態によって費用は大きく変動しますが、一般的なサイズの金仏壇であれば100万円~300万円程度が一つの目安となります。もちろん、これはあくまで目安であり、正確な金額は専門家が実際にお仏壇を拝見し、詳細な見積もりを作成する必要があります。

費用の内訳と「本当の価値」

では、なぜこれほどの費用がかかるのでしょうか。その内訳は、主に以下の要素で構成されています。

  • ① 各分野の専門職人への「技術料」
    費用の大部分を占めるのが、これです。 木地師、塗師、金箔押師をはじめとする「七職」の職人たちは、長年の修行によって培われた、一朝一夕では真似のできない高度な伝統技術を持っています。この失われつつある貴重な伝統技術に対し、正当な対価が支払われるのです。
  • ② 最高級の「材料費」
    修復には、金沢の縁付金箔、良質な木材、そして漆やウレタン、カシューといった最高級の塗料が使われます。 これらの材料は、お仏壇の耐久性と美しさを100年先まで保つために不可欠であり、当然ながら高価なものとなります。
  • ③ 膨大な「作業工数」
    ご紹介した通り、分解から組み立てまでには数多くの工程があり、それぞれに膨大な時間と手間がかかります。特に塗装の乾燥など、時間を短縮できない工程も多く、最低でも3ヶ月から4ヶ月、場合によってはそれ以上の期間を要します。 この工数に対する費用も含まれます。

「総塗替え修繕」の本当の価値とは、単にモノを綺麗に直すことではありません。

それは、ご先祖様への感謝の気持ちを最高の形で表現し、家族の想いと共に日本の伝統工芸という文化遺産を、次の世代、さらにその次の世代へと受け継いでいくための、未来への投資なのです。

第4章:失敗しない!信頼できる仏壇修繕業者の選び方

「総塗替え修繕」は、高額な費用と長い期間がかかる、まさに一大事業です。だからこそ、心から信頼できる業者に任せたいもの。 ここでは、後悔しないために必ずチェックしていただきたい5つのポイントをご紹介します。

【ポイント1】創業年数と豊富な実績があるか

長年にわたって地域に根差し、事業を継続していること自体が、信頼の証です。 多くの修復を手掛けてきた実績は、様々な状態のお仏壇に対応できる高い技術力とノウハウを持っていることを示します。会社の歴史や、これまでの修復実績数などを確認しましょう。

【ポイント2】お仏壇だけでなく「寺院仏具」の修繕実績があるか

お寺の本堂にあるような大きな仏具の修復は、より高度な技術と専門知識が求められます。複数の寺院から依頼を受けているということは、仏事の専門家であるお寺様からもその技術力と信頼性が認められている何よりの証拠です。 これは、業者選びの非常に重要な判断基準となります。

【ポイント3】詳細な見積もりを提示し、内容を丁寧に説明してくれるか

信頼できる業者は、どこにどのような傷みがあり、どの工程にどれくらいの費用がかかるのかを考慮しながら複数の詳細な見積書を作成して、1つづつ丁寧に説明してくれます。ここで注意すべき点が2つあります。

  1. 見積書に「解体」の項目が明記されているか?
    「解体」と書かれていない修繕は、表面的な修理に過ぎません。 根本的な修復を行う「総塗替え修繕」には、必ず「解体」の工程が含まれます。
  2. 「追加費用が発生する場合があります」などの表記がないか?
    これは、業者の知識や経験不足の表れである可能性があります。 経験豊富な専門家であれば、お仏壇の状態を正確に診断し、追加費用が発生しない的確な見積もりを提示できるはずです。

【ポイント4】過去の修復事例を写真付きで公開しているか

修復事例の写真を沢山に公開しているかを確認しましょう。写真付きの事例が多数公開されているということは、それだけ多くの経験を積んでいる証であり、仕上がりに自信があることの表れです。また、お客様が写真の公開を許可しているということは、その仕上がりに心から満足している証拠とも言えます。

【ポイント5】地域での評判が良いか(直筆のアンケートや口コミ)

実際にその業者を利用したお客様の声は、最も参考になる情報の一つです。ホームページに掲載されている直筆のアンケートや、Googleマップなどの第三者による口コミを確認し、地域でどのような評価を受けているかをチェックしましょう。


お仏壇の状態をプロの目で確かめてみませんか?

これらのポイントをすべて満たす専門家を探すのは、簡単ではないかもしれません。新川崎雲山堂は、創業70年以上、三代にわたって仏壇・仏具と向き合い、数多くのご家庭、そしてお寺様の修復を手掛けてまいりました。

「うちの仏壇は、本当に修繕が必要なのだろうか?」
「まずは専門家の意見を聞いてみたい」

そうお考えでしたら、まずはお気軽にご相談ください。仏師三代目の私(青地直樹)がご自宅まで伺い、お仏壇の状態を丁寧に診断させていただきます。
→お仏壇の専門家に仏壇修繕について相談する(新川崎雲山堂 仏壇修繕 専用ページ)

第5章:金仏壇の修繕に関するよくあるご質問(Q&A)

最後に、お客様からよく寄せられるご質問にお答えします。

Q. お仏壇をきれいにするタイミングはいつが良いですか?

A. 基本的には、汚れや傷みが「気になったとき」が一番のタイミングです。 その他、ご法事やお盆、お彼岸などの仏事ごとや、ご自宅のリフォームや新築の際に「家が綺麗になるのだから、ご先祖様のお住まいも綺麗にしてあげたい」とご依頼いただくケースも多くございます。
実は、私自身が二級建築士の資格を持っておりますので、特に新築の際には、設計事務所様とのお打ち合わせに参加させていただくことも可能です。図面を拝見しながら、お仏壇の最適な納まりはもちろん、床の間、収納、畳、長押といった和室全体の意匠について、建築士としての目線からアドバイスをさせていただきます。これまでご家庭の仏間からお寺様の本堂まで、様々な和室建築に携わってきた経験を、お客様の理想の仏間作りにお役立ていただけ、大変喜ばれております。

Q. 修理にはどのくらいの期間がかかりますか?

A. 「総塗替え修繕」の場合、お仏壇をお預かりしてからお納めするまで、少なくとも3ヶ月から4ヶ月はかかります。 傷みの状態や修復内容によっては、それ以上の期間を要する場合もございます。

Q. 修理が終わった後、家のリフォームが終わるまで預かってもらえますか?

A. はい、可能です。多くの場合、お家のリフォームの方がお仏壇の修復よりも長い期間を要します。修復が完了したお仏壇は、お客様のご自宅が完成するまで、弊社にて責任を持って大切に保管いたしますのでご安心ください。

Q. 修理中、ご本尊様やご位牌はどうすれば良いですか?

A. ご安心ください。お仏壇をお預かりする際、私たちがご本尊様やご位牌を丁寧に梱包し、専用の箱にお納めします。 その箱は修理期間中、お客様のお手元で大切に保管していただけますので、ご先祖様と離れ離れになる心配はございません。 お仏壇があった場所に小さな机などを置き、そこにご安置いただく「仮祀り」という形でお祀りいただく場合も丁寧に安置させていただきます。

Q. 扉の歪みだけなど、部分的な修理もお願いできますか?

A. ご相談ありがとうございます。しかし、私たちの長年の経験上、扉のような目に見える部分に不具合がある場合、普段は見えない柱の歪みや台座の緩みなど、内部構造にも同等以上の傷みが隠れていることがほとんどです。 そのため、当店ではお仏壇を末永く安心してお使いいただくために、部分的な対症療法ではなく、お仏壇全体の状態を拝見した上での根本的な修復をおすすめしております。

Q. 見積もりをお願いするのに費用はかかりますか?

A. はい、当店ではお仏壇の状態を正確に診断するため、ご自宅までの距離に応じた出張見積り費用を頂戴しております。お見積りには職人ではなく、代表取締役である私、青地直樹が直接お伺いします。 私自身がお客様のお話をじっくりと伺い、お仏壇の隅々まで拝見した上で、最も適切な複数の修繕プランをご提案させていただきます。なお、お見積もり後に修繕をご成約いただいた場合、その見積り費用は修復代金から全額お値引きさせていただきます。最終的に修繕をお任せいただければ、お客様の実質的なご負担は0円となりますので、どうぞお気軽にご相談ください。

まとめ:大切なのは、想いを未来へ繋ぐこと

今回は、金仏壇の価値を100年保つための最高レベルの修復技術「総塗替え修繕(お洗濯)」について、詳しく解説しました。

  • 「総塗替え修繕」は、完全分解して内部から修復する根本治療であり、表面的なクリーニングとは全く異なる。
  • 修復には「七職」と呼ばれる専門職人たちの伝統技術が結集されている。
  • 費用は高価だが、それは失われつつある日本の伝統技術と、お仏壇を未来へ繋ぐための価値ある投資である。
  • 信頼できる業者を選ぶには、「実績」「寺院の仕事」「詳細な見積もり」「事例」「評判」の5つのポイントが重要。

お仏壇は、ただ手を合わせるだけの箱ではありません。それは、家族の歴史を見守り、喜びも悲しみも共に分かち合ってきた、かけがえのない存在です。その輝きが失われつつあると感じたとき、それはご先祖様からの「そろそろ労ってほしい」というサインなのかもしれません。

「どこに相談すればいいか分からない」
「うちの仏壇は、どれくらいの費用がかかるのだろう」

そんな不安やお悩みを抱えていらっしゃるなら、どうか一人で悩まず、私たちお仏壇の専門家にご相談ください。

川崎の地で70余年、仏師三代にわたり受け継いできた知識と技術で、お客様の大切な想いを未来へと繋ぐお手伝いをさせていただきます。一生に一度の修復だからこそ、本物の技術を持つ専門家にお任せください。まずはお電話一本、お気軽にお声がけいただければ幸いです。

→お仏壇の専門家に仏壇修繕について相談する(新川崎雲山堂 仏壇修繕 専用ページ)


この記事の監修者

株式会社 新川崎雲山堂 体表取締役 青地 直樹

役職: 代表取締役 / 仏師三代目
経歴:
昭和24年創業の仏壇店「雲山堂」をルーツに持つ「新川崎雲山堂」の三代目。祖父、父の背中を見て育ち、幼い頃から仏壇・仏具に触れる。大学では建築学を専攻し、住宅デザインや動線計画を学ぶ。卒業後、家業を継ぎ、仏壇業一筋の道を歩む。経営者として悩んだ経験から「お客様の心に寄り添う」ことを経営理念の中心に据え、日々お客様と向き合っている。
保有資格:

  • 二級建築士
  • 仏事コーディネーター

お客様へのメッセージ:
「お仏壇は、特別なものではなく、日常生活の中に溶け込み、故人と共に暮らすための大切な場所です。私たちは、お客様が心から安らぎ、自然と手を合わせたくなるような、世界に一つだけの祈りの空間を創るお手伝いをさせていただきます。どんな些細なことでも、お気軽にご相談ください。

世界に一つだけの祈りの空間を。私達の想いを形にするオーダーメイド仏壇の魅力

世界に一つだけの祈りの空間を。私達の想いを形にするオーダーメイド仏壇の魅力

「リビングに置きたいけれど、いかにも”仏壇”というデザインは避けたい」
「親から受け継いだこの仏壇、想いは引き継ぎたいけど今の家には大きすぎる…」
「私たちの家族の歴史や想いを、新しい形でこれからも大切にしていきたい」

大切な方を偲ぶための祈りの空間。しかし、既製品の仏壇を探す中で、ご自身の住まいやライフスタイル、そして何より「故人やご先祖様への特別な想い」にぴったりと合うものが見つからず、悩まれている方は少なくありません。

この記事では、そんなあなたのための選択肢、「オーダーメイド仏壇」について、その魅力から実現できること、費用、そして後悔しないための依頼先の選び方まで、仏壇製作の専門家が包括的に解説します。特に、ゼロから作るフルオーダーだけでなく、今ある想いを賢く受け継ぐ「セミオーダー」という選択肢に焦点を当てていきます。

この記事を最後までお読みいただければ、既成概念にとらわれない、あなただけの「世界に一つだけの祈りの空間」を創り上げるための具体的な道筋が見えてくるはずです。

この記事の要点(まとめ)

  • オーダーメイド仏壇は、デザイン、サイズ、素材を自由に設計し、住空間や個人の想いに完璧に調和させられる祈りの形です。
  • 既製品を元にカスタマイズする「セミオーダー」や、古い仏壇の部材を活かす「セミオーダーリメイク」なら、比較的コストを抑えつつ想いを形にできます。
  • 後悔しないためには、**「実績と事例」「ヒアリングと提案力」「職人の技術力」**の3つを基準に、信頼できる専門家を見極めることが最も重要です。
  • 最適な提案を受けるためには、ショールームへ行く前に、専門家を自宅に招き、実際の設置場所や部屋全体の雰囲気を見てもらうことが成功の鍵となります。

Q&A:そもそも「オーダーメイド仏壇」とは?

Q. オーダーメイド仏壇とは、具体的にどのような仏壇ですか?

A. オーダーメイド仏壇とは、お客様一人ひとりのご要望に合わせて、デザイン、サイズ、素材、機能などをゼロから、あるいは既製品を元に設計・製作する仏壇のことです。現代の多様な住空間やライフスタイル、そして故人やご家族の特別な想いを形にするための、最も自由な選択肢と言えます。

一般的に「オーダーメイド」と聞くと、すべてをゼロから作り上げる「フルオーダー」を想像されるかもしれませんが、実際にはいくつかの種類があります。

オーダーメイド仏壇の主な種類

種類 特徴 こんな方におすすめ
フルオーダー仏壇 デザイン、素材、サイズ、細部の彫刻まで、すべてをゼロから設計・製作します。 ・徹底的にこだわりたい方
・設置場所に特殊な制約がある方
・唯一無二のデザインを求める方
セミオーダー仏壇 既製品の仏壇をベースに、色や素材、一部のデザイン、寸法などを変更して製作します。 ・コストを抑えつつこだわりを実現したい方
・ベースとなるデザインは気に入っているが、部分的に変更したい方
セミオーダーリメイク仏壇 親から受け継いだ古い仏壇など、思い入れのある部材の一部を新しい仏壇に組み込んで製作します。 ・ご先祖様との繋がりや想いを受け継ぎたい方
・家の歴史を新しい祈りの空間に活かしたい方

特に私たち新川崎雲山堂では、お客様のご要望とご予算に柔軟にお応えできる「セミオーダー仏壇」と「セミオーダーリメイク仏壇」を得意としております。フルオーダーよりも費用を抑えながら、「世界に一つだけ」の価値を実現できるため、多くのお客様にお喜びいただいています。


なぜ今、オーダーメイド仏壇が選ばれるのか? – 3つの理由

近年、オーダーメイドという選択をされる方が増えています。その背景には、私たちの暮らしや価値観の変化が大きく関わっています。

1. 住空間との完璧な調和を求めて

かつて仏壇は、仏間や和室に置かれるのが一般的でした。しかし、現代の住まいはリビングが中心となり、フローリングの洋間が主流です。

  • マンションのリビングに合うデザインがない: モダンなインテリアの中に、伝統的なデザインの仏壇を置くと浮いてしまう。
  • 設置スペースが限られている: 家具の間にぴったり収まるサイズや、壁面に埋め込むような設計にしたい。
  • 家具と色調を合わせたい: 既存の家具と同じウォールナット材やナチュラルな木目で統一したい。

オーダーメイドであれば、こうした住空間に関するあらゆる制約やご要望に対応可能です。仏壇を無理に空間に合わせるのではなく、空間を構成する美しい家具の一つとして、完璧に調和させることができます。

2. 家族の歴史と想いを「受け継ぐ」ために

「家の建て替えを機に、仏壇も新しくしたい」
「リビングをリフォームするのに合わせて、祈りの空間も見直したい」

住環境の変化は、お仏壇のあり方を考える大きなきっかけとなります。その際に多くの方が抱くのは、「ただ新しくする」のではなく、「これまで大切にしてきた想いを、どうすれば未来へ繋いでいけるか」という切実な願いです。

  • ご先祖様から受け継いだご本尊やお位牌は、これからも大切に祀り続けたい。
  • 古い仏壇は処分したくない。この家の歴史が詰まった一部だけでも残したい。
  • 新しい住まいに合わせて、祈りの空間も気持ちよく整えたい。

こうした想いは、すべてをゼロから作り上げるフルオーダーよりも、今ある大切なものを活かす「セミオーダー」や「セミオーダーリメイク」だからこそ、より深く、そして現実的に実現できるのです。それは、単なるモノの買い替えではなく、家族の歴史を再編集し、次世代へと受け継いでいく尊い営みと言えるでしょう。

3. 宗教観や供養の形の多様化

「特定の宗派にこだわらず、自由に祈れる場所が欲しい」
「形式よりも、日々手を合わせ、心を繋ぐことを大切にしたい」

現代では、宗教に対する考え方や供養の形も多様化しています。オーダーメイド仏壇は、こうした価値観の変化にも柔軟に対応します。

  • 無宗教の方向けの「祈りのステージ」: ご本尊を置かず、遺影や思い出の品を飾るためのメモリアルスペースとして設計。
  • 宗派の様式は守りつつ、デザインはモダンに: 伝統的な内装のしきたりは踏襲しながら、外観は現代の住まいに合うシンプルなデザインに。
  • 手元供養との組み合わせ: コンパクトな祈りの空間に、遺骨を納めたオブジェなどを美しく安置できるよう設計。

大切なのは形式ではなく「偲ぶ心」。 オーダーメイドは、一人ひとりの心に寄り添った、自由でパーソナルな祈りの形を実現します。


オーダーメイド仏壇で実現できること【7つの具体例】

「オーダーメイドで、具体的にどんなことができるの?」という疑問にお答えします。ここでは、お客様の想いを形にした、無限の可能性の一部をご紹介します。

  1. デザインの完全な自由設計
    • 素材: 高級な黒檀や紫檀といった伝統的な唐木から、明るい雰囲気のオーク、ウォールナット、チェリー材まで、お部屋のインテリアに合わせて選べます。
    • 色: 家具の色に合わせたり、壁紙とのコントラストを考えたり、自由なカラーリングが可能です。
    • 形: シンプルな箱型から、曲線を生かしたモダンなデザイン、壁面に埋め込むビルトインタイプまで、あらゆる形状に対応します。
  2. サイズのミリ単位での調整
    • 「あと5cm低ければ、窓にかからないのに…」
    • 「この家具と家具の間に、寸分の狂いなく収めたい」
    • そんなミリ単位の要望にもお応えできます。お部屋の動線を妨げず、最も美しく収まるサイズで製作します。
  3. お持ちのご本尊・お位牌に合わせた最適な内部設計
    お客様が最も大切にされている、ご本尊(仏像や掛軸)やお位牌。これらをただ新しい仏壇に移動させるだけでは、寸法が合わずに不格好に見えたり、窮屈な印象になったりすることがあります。セミオーダーなら、「中身」を主役にした最高の舞台をあつらえることが可能です。

    • お手持ちのご本尊が最も荘厳に見えるよう、内部の天井高や奥行きをミリ単位で調整します。
    • お位牌の数や大きさに合わせて棚を設計し、将来増えることを見越して余裕を持たせることもできます。
    • お客様がお持ちの仏具(おりん、香炉など)がすっきりと収まるよう、棚のサイズを最適化します。
      これにより、ただ新しいだけでなく、魂の中心であるご本尊やお位牌が整然と美しく祀られた、心の安らぐ祈りの空間が生まれます。
  4. 機能性のカスタマイズ
    • お線香や数珠、思い出の品を収納できる引き出しを追加する。
    • 車椅子をご利用の方でもお参りしやすいように、台の高さを調整する。
    • 内部に間接照明を取り付け、幻想的で安らぎのある空間を演出する。
  5. 思い出の木材や部材の活用(セミオーダーリメイク)
    • 実家を解体した際に出た大黒柱や床柱の一部を、新しい仏壇の扉や内部の部材として使用する。
    • 親から受け継いだ古い仏壇の、見事な彫刻が施された欄間だけを活かし、他はモダンなデザインで作り変える。
    • まさに、家の歴史と家族の想いそのものを受け継ぐことができます。
  6. お手持ちの家具とのトータルコーディネート
    • リビングのテレビボードやサイドボードと全く同じ素材、同じデザインテイストで製作することで、後から置いたとは思えないほどの一体感を生み出します。
    • 作り付けの収納やクローゼットの中に設置する場合、お仏壇本体の扉をなくしてオープンな祈りのステージにするといった、空間と一体化する設計も大変人気があります。
    • 専門家がご自宅に伺い、既存の家具のデザインや色調を正確に把握することで、完璧なコーディネートが可能になります。
  7. 宗派の様式に沿った荘厳な設計
    • 浄土真宗の金仏壇や、各宗派で定められた宮殿(くうでん)の様式など、伝統的な決まり事を守りながら、お客様のこだわりを反映させることができます。
    • 仏事コーディネーターの資格を持つ専門家が、宗派による違いも丁寧にご説明しますのでご安心ください。

【気になる疑問を解決】オーダーメイド仏壇 Q&A

オーダーメイドを検討する際に、多くの方が気になる費用や納期といった疑問について、Q&A形式で分かりやすくお答えします。

Q1. 費用はどのくらいかかりますか?

A. 一概には言えませんが、既製品を元にする「セミオーダー」であれば30万円~、ゼロから設計する「フルオーダー」であれば150万円~が一つの目安となります。価格は以下の要素によって大きく変動します。

  • サイズ: 当然ながら、大きくなるほど価格は上がります。
  • 素材: 黒檀や紫檀などの希少な銘木を使用するか、一般的な木材を使用するかでも変わります。
  • 加工方法: 表面に厚い無垢材を貼る「厚板貼り」か、薄い木材を貼る「薄板貼り」かでも変わります。
  • デザインの複雑さ: 彫刻や象嵌(ぞうがん)など、職人の手仕事が多くなるほど価格は上がります。
  • 国産か外国産か: 部材の品質や加工精度、耐久性において国産のほうが優れている場合が多く、また、国産で使用している塗料・合板・接着剤は、国が定めた基準に従いJIS・JA表示【F☆☆☆☆】のものであり、お客様に安心して使っていただけるよう配慮してしている分価格も高くなる傾向があります。ちなみに、海外で生産された素材には、国内の基準が適用されないために、シックハウス症候群を引き起こす可能性があり注意が必要です。

最も大切なのは、ご予算の中で最大限のご要望を叶えることです。信頼できる専門家は、ご予算を伺った上で、素材や仕様を調整しながら最適なプランを提案してくれます。

Q2. 納期はどのくらいかかりますか?

A. 仕様にもよりますが、ご相談からご納品までおおよそ2ヶ月~6ヶ月が目安です。四十九日の法要に間に合わせたいなど、お急ぎの場合もまずはご相談ください。一般的な流れは以下の通りです。

  1. ご相談・ヒアリング(約1~2週間)
  2. デザイン提案・お見積もり(約1~2週間)
  3. ご契約・製作開始(約1.5ヶ月~5ヶ月)
  4. ご納品・設置

Q3. 宗派による決まり事はありますか? 詳しくなくても大丈夫ですか?

A. ご安心ください。多くのお客様は、仏壇や仏事に関する詳しい知識をお持ちではありません。私たち専門家が、お客様の宗派をお伺いした上で、ご本尊の種類や祀り方に関する決まり事を分かりやすくご説明いたします。その上で、どこまで伝統的な様式を取り入れ、どこにオリジナリティを出すかを一緒に考えていきますので、知識がなくても全く問題ありません。

Q4. どんな素材が選べますか?

A. 伝統的な黒檀、紫檀、欅(けやき)といった銘木から、現代の家具で人気のウォールナット、クルミ、タモ、メープル、サクラなど、多種多様な木材からお選びいただけます。また、木材だけでなく、ガラスや金属、アクリルといった異素材を組み合わせることで、より独創的なデザインに仕上げることも可能です。お客様のイメージに最も近い素材をご提案します。

Q5. 「こんな小さな要望、聞いてもらえるだろうか…」と不安です。

A. どうかご遠慮なく、どんな些細なことでもお聞かせください。「置く場所の問題であと1cm奥行を小さくしてほしい」「古い仏壇の中の思い出のこの彫刻部分を新しい仏壇に入れてほしい」といった小さなこだわりこそが、お仏壇への愛着を深めます。お客様の「想い」に真摯に耳を傾け、それを形にするのが私たちの使命です。


あなたの想いを、まずは専門家に話してみませんか?

ここまで読んで、オーダーメイド仏壇の魅力や可能性を感じていただけたでしょうか。
しかし、本当に大切なのは、カタログ上のスペックやデザインではありません。
「あなたの、そしてご家族の想いを、いかにして形にするか」です。

そのためには、まず専門家がお客様のご自宅へ直接お伺いし、お仏壇を置くお部屋の雰囲気、光の入り方、周りの家具とのバランスをその目で確かめることが不可欠です。そして何より、お客様の想いをじっくりとお聞きすることから、世界に一つだけの祈りの空間づくりは始まります。

新川崎雲山堂では、仏師三代にわたる経験と、建築士としての知識を活かし、お客様一人ひとりに最適なご提案をいたします。 無理な営業は一切いたしませんので、まずはお客様の理想や夢、お悩みをお聞かせください。

→世界に一つだけの祈りの空間について相談する(新川崎雲山堂 セミオーダー仏壇 専用ページ)


後悔しないオーダーメイド仏壇の依頼先を選ぶ3つのポイント

オーダーメイド仏壇の満足度は、「誰に頼むか」で9割が決まると言っても過言ではありません。高価な買い物で失敗しないために、以下の3つのポイントを必ずチェックしてください。

ポイント1:【実績】豊富な製作事例と「お客様の声」があるか

その業者がどれだけの実績を持っているかは、最も分かりやすい判断基準です。

  • 具体的な製作事例を見せてもらえるか: ホームページやカタログで、過去に製作したオーダーメイド仏壇の事例を多数公開しているか確認しましょう。デザインの幅広さや品質の高さを知ることができます。
  • お客様の顔が見えるか: 納品したお仏壇の写真だけでなく、お客様が一緒に写っている写真や、直筆の「お客様の声」が豊富にある業者は、お客様との信頼関係が厚い証拠です。

ポイント2:【提案力】こちらの想いを深く理解し、形にしてくれるか

オーダーメイドの成功は、業者とのコミュニケーションにかかっています。

  • 丁寧なヒアリング: 「どんなことでも話してください」という姿勢で、こちらの曖昧なイメージや想いを丁寧に聞き出し、整理してくれるか。
  • 専門家としての提案: こちらの要望をただ聞くだけでなく、「こちらの素材の方がお部屋の雰囲気に合いますよ」「これを使用すれば、将来的なメンテナンスが楽になります」といった、プロならではの視点でプラスアルファの提案をしてくれるか。
  • メリット・デメリットの説明: 「この素材は始めは美しいですが、使用するにつれて変色いたします」など、良い点だけでなく、正直にデメリットも伝えてくれる業者は信頼できます。

ポイント3:【技術力】職人の顔が見え、アフターフォローも万全か

長く使うものだからこそ、作り手の技術と購入後のサポート体制は重要です。

  • 職人の技術: どんな職人が作っているのか、その技術力やこだわりについて説明してくれるか。
  • 一貫したサポート体制: 設計から製作、納品、そして購入後の修理やメンテナンスまで、責任を持って対応してくれるかを確認しましょう。 「作ったら終わり」ではなく、何十年にもわたって寄り添ってくれる業者を選びましょう。

新川崎雲山堂の「セミオーダーリメイク仏壇」製作ストーリー【お客様事例】

【ご相談者】 川崎市幸区在住・Y様

【Before】ご相談時のお悩み
「実家を処分することになり、30年以上手を合わせてきた仏壇は、私達家族にとってはとても大切なものなのですが、今の自分達の家には大きすぎてどうしようか悩んでいました。」

【Step1】専門家によるご自宅訪問・ヒアリング
まず、私、青地直樹がY様の実家へ伺い仏壇を拝見しました。黒檀の立派な仏壇でした。

お話しを伺うと姉弟2人で現在は別々にお住まいであり、出来ればで姉弟それぞれが大切なお仏壇を引き継ぎたい気持ちがあるものの、現在の住まいにはサイズも雰囲気もまったく合わないとのことでした。
「仏壇そのものではなく、そこに宿る“家族の歴史”を受け継ぎたい」というお気持ちがひしひしと伝わってきました。

【Step2】ご提案:セミオーダーリメイク
そこで私たちがご提案したのが、1つの仏壇から2つの「セミオーダーリメイク仏壇」を製作です。

「ご実家のお仏壇は、全てを使うことはできません。しかし、ご両親が大切にされてきた仏壇の扉の黒檀無垢板の部分と障子の向かい合わせの鳳凰の彫刻。この部分だけを丁寧に取り外し、お姉様のお家に置く14号サイズ(高さ43cm)の仏壇には黒檀無垢板を活かし、弟様のお家に置く20号サイズ(高さ60cm)の仏壇には黒檀無垢板に加えて鳳凰の彫刻を活かしてはいかがでしょうか。そして、本体はリビングの家具に合わせてタモ材のライト色で製作します。そうすれば、お2人共それぞれ家族の思いを受け継ぐことと、サイズもデザインも生活と調和することが両立できます」

この提案に、Y様は「そんなことができるなんて!」と、大変喜んでくださいました。

【Step3】製作〜納品
熟練の職人が、ご実家のお仏壇から慎重に扉や彫刻を取り外し、新しい仏壇に収まるように丁寧に加工。並行して、お姉様用の14号と弟様用の20号の2つの仏壇本体を、タモ材厚板貼りで戸板は無垢板仕上げで製作しました。
そして約3ヶ月後、古い記憶を宿した扉及び彫刻と、新しい生命を吹き込まれた本体が一つになった、世界に一つだけのお仏壇が完成しました。

それぞれの仏壇の、色の濃い木材(黒檀)の部分が、30年以上お使いになっていた仏壇の扉の板や彫刻です。それぞれのお部屋に合ったモダンで小さめの仏壇に、ご家族の思いをしっかりと受け継いでおります。

【After】お客様の声
「実際にセミオーダーリメイク仏壇をお部屋に置いてみて、とてもすばらしいので感激しました。母が病気になり、もう泣かないと決めたのに、涙が出てしまうほどうれしかったです。ありがとうございます。」とのことで、これほど仏師冥利に尽きる言葉はありません。よろこんで頂き、そして感激して頂き、本当に良かったです。ありがとうございました。


まとめ:想いを形にする、それが私たちの使命です

オーダーメイド仏壇は、単にデザインやサイズを自由に選べるというだけのものではありません。それは、故人への愛、ご先祖様への感謝、そして家族の絆といった、目には見えない大切な「想い」を形にし、未来へと繋いでいくための特別な器です。

私の父は、かつて私にこう語ってくれました。
「私たちにできることがあるとしたら、『せめて気持ちだけでも、そのお客様にしっかり寄り添ってあげる』。そんな心を大切にして、お客様のご要望をお聞きし、アドバイスしてあげること。それが、我々に課せられた使命だと思う」

この言葉は、今も私たちの経営理念の核となっています。

既製品の仏壇では、あなたのその深い想いを表現しきれないかもしれません。もし少しでもそうお感じなら、どうか諦めないでください。私たち専門家は、あなたの想いにどこまでも寄り添い、それを最高の形で実現するためのお手伝いをさせていただきます。

日常生活の中に自然に溶け込み、見るたびに心が安らぎ、自然と手を合わせたくなる。 そんな、あなたとご家族にとっての真の「心の拠り所」を、私たちと一緒に創り上げていきませんか。


最高の祈りの空間づくりは、最高の専門家選びから

まずは、あなたの想いをお聞かせください。

私たちがご自宅までお伺いし、お部屋を拝見しながら、最高のお仏壇をご提案します。

→世界に一つだけの祈りの空間について相談する(新川崎雲山堂 セミオーダー仏壇 専用ページ)


この記事の監修者

株式会社 新川崎雲山堂 体表取締役 青地 直樹

役職: 代表取締役 / 仏師三代目
経歴:
昭和24年創業の仏壇店「雲山堂」をルーツに持つ「新川崎雲山堂」の三代目。祖父、父の背中を見て育ち、幼い頃から仏壇・仏具に触れる。大学では建築学を専攻し、住宅デザインや動線計画を学ぶ。卒業後、家業を継ぎ、仏壇業一筋の道を歩む。経営者として悩んだ経験から「お客様の心に寄り添う」ことを経営理念の中心に据え、日々お客様と向き合っている。
保有資格:

  • 二級建築士
  • 仏事コーディネーター

お客様へのメッセージ:
「お仏壇は、特別なものではなく、日常生活の中に溶け込み、故人と共に暮らすための大切な場所です。私たちは、お客様が心から安らぎ、自然と手を合わせたくなるような、世界に一つだけの祈りの空間を創るお手伝いをさせていただきます。どんな些細なことでも、お気軽にご相談ください。

【2025年版】仏壇処分の方法7選|費用相場と流れを完全ガイド

【2025年版】仏壇処分の方法7選|費用相場と流れを完全ガイド

「実家の片付けで、大きな仏壇の処分に困っている…」
「終活の一環で身辺整理をしたいけれど、仏壇はどうすればいいの?」
「マンションに引っ越すので、今の仏壇をきちんと供養して手放したい」

ご実家の整理やライフスタイルの変化に伴い、長年手を合わせてきたお仏壇の処分を考えたとき、多くの方が途方に暮れてしまいます。処分の方法が分からないだけでなく、「ご先祖様に失礼ではないか」「罰が当たるのではないか」といった、目に見えない不安や罪悪感を抱えてしまうのは、決してあなただけではありません。

しかし、ご安心ください。仏壇処分は「捨てる」ことではなく、感謝を込めて「お役目を終えていただく」ための大切な儀式です。正しい知識と手順を踏めば、ご先祖様への敬意を払いながら、心の負担なくお仏壇を整理することができます。

この記事では、仏壇供養処分の専門家であり、長年川崎の地で仏壇・仏具を扱ってきた「新川崎雲山堂」が、2025年の最新情報に基づき、仏壇処分の7つの具体的な方法費用相場供養から処分までの全ステップを、どこよりも分かりやすく徹底解説します。

この記事を最後まで読めば、以下のことが明確になります。

  • あなたにとって最適な仏壇処分の方法が7つの選択肢から見つかる
  • 処分にかかる費用の内訳と、不当な追加料金を防ぐポイントが分かる
  • 問い合わせから供養完了までの具体的な流れがイメージできる
  • ご先祖様に失礼のない、正しい供養の方法が理解できる
  • 安心して任せられる、信頼できるお店や業者の選び方が分かる

長年のお悩みを解消し、新たな一歩を踏み出すために。まずは、どのような選択肢があるのか、全体像から見ていきましょう。

仏壇処分の7つの方法 メリット・デメリット比較一覧表

仏壇を処分するには、主に7つの方法が考えられます。それぞれにメリット・デメリット、費用相場が異なるため、ご自身の状況や考え方に最も合う方法を選ぶことが大切です。まずは一覧表で全体像を把握しましょう。

処分方法 メリット デメリット 費用相場(供養料含む) こんな方におすすめ
1. 菩提寺に相談する 最も丁寧で安心感が高い。先祖代々の供養を任せられる。 お布施の金額が不明瞭な場合がある。檀家でないと断られることも。 30,000円~150,000円+α 先祖代々お付き合いのある菩提寺がある方。
2. 仏壇・仏具店に依頼する 仏壇の専門知識が豊富で、供養から処分まで一貫して任せられる。実店舗があり安心。 買い替えを伴わない処分のみの場合、割高になる店舗もある。 25,000円~120,000円 価格だけでなく内容を重視し、専門家に丁寧な供養を任せたい方。
3. 仏壇供養処分の専門業者に依頼する 料金が安価な場合がある。WEBで手軽に依頼できる。 業者の質に差が激しい。供養がオプション料金になっていることも。実店舗がなく実態が不明瞭な場合も。 15,000円~70,000円 とにかく費用を最優先し、供養の質より価格で選びたい方。
4. 自治体の粗頭ゴミとして処分する 費用を最も安く抑えられる。 供養は自分で行う必要がある。多くの自治体で受け入れ不可。精神的な抵抗感が大きい。 500円~3,000円(処分費用のみ) 供養を別途済ませ、単なる「箱」として割り切れる方。
5. 遺品整理業者に依頼する 仏壇以外の家財もまとめて整理・処分できる。 仏壇供養の専門性が低い場合がある。供養がオプション料金になっていることも。 30,000円~100,000円(他の遺品整理費用に加算) 実家じまいなどで、家全体の片付けを考えている方。
6. リサイクル業者に売却する 価値のある仏壇の場合、買い取ってもらえる可能性がある。 買い手が見つかりにくい。供養は自分で行う必要がある。古い仏壇はほぼ値段がつかない。 0円(+売却益の可能性) 製造から年数が浅く、状態の良い高級仏壇をお持ちの方。
7. 自分で解体して処分する 費用を抑えられる可能性がある。 多大な手間と時間がかかる。専門的な工具が必要。精神的な負担が大きい。 0円~(道具代、ゴミ処理代) DIYが得意で、供養を済ませた仏壇を自分で最後まで整理したい方。

ご覧の通り、選択肢は多岐にわたります。この中で、専門知識・丁寧さ・料金の明瞭さといった安心感、そして手間の少なさのバランスが最も取れているのが「2. 仏壇・仏具店に依頼する」方法です。

次章からは、それぞれの方法について、より詳しく解説していきます。

【方法別】仏壇処分の手順と注意点を詳しく解説

7つの方法それぞれについて、具体的な手順、費用、そして注意すべき点を掘り下げていきましょう。

1. 菩提寺(ぼだいじ)に相談する

菩提寺とは、先祖代々のお墓があり、法要を営んでもらっているお寺のことです。

  • 手順:
    1. まず、菩提寺のご住職に電話などで連絡を取り、仏壇を処分したい旨を相談します。
    2. ご住職の指示に従い、ご自宅またはお寺で閉眼供養(へいがんくよう、魂抜きの儀式)を行ってもらいます。
    3. 供養後、お寺でお焚き上げまでしてくれる場合と、供養後の仏壇は自分で処分する必要がある場合があります。事前に確認が必要です。
  • メリット:
    • 先祖代々お世話になっているご住職に供養してもらえるため、精神的な安心感が最も高い方法です。
    • 宗派の作法に則った、最も丁寧な供養が期待できます。
  • デメリット・注意点:
    • 檀家であることが前提です。檀家でない場合は、断られることがほとんどです。
    • お布施の金額が「お気持ちで」と言われることが多く、相場が分かりにくい場合があります。
    • お寺によっては、供養は行っても処分のための引き取り(お焚き上げ)は行っていないケースもあります。

2. 仏壇・仏具店に依頼する

長年、仏壇や仏具を専門に扱ってきたプロフェッショナルに、供養から処分まで一貫して任せる、最も安心で確実な方法です。 私たち「新川崎雲山堂」も、この仏壇・仏具店に該当します。

  • 手順:
    1. 仏壇・仏具店に電話やホームページから問い合わせ、仏壇のサイズや種類を伝えて見積もりを依頼します。
    2. 提示された料金やサービス内容に納得すれば、引き取りの日時を決定します。
    3. 指定日時にスタッフが訪問し、仏壇を丁寧に梱包して搬出します。実店舗があれば直接持ち込むことも可能です。
    4. お店が提携する寺院などで合同供養または個別供養が行われ、その後、適切に処分されます。
    5. 後日、供養が完了したことを証明する「供養証明書」などが送付されます。
  • メリット:
    • 仏壇に関する専門知識が圧倒的に豊富です。宗派による違いや仏具の扱いにも精通しており、あらゆる疑問に的確に答えてくれます。
    • 料金体系が明確で、見積もりには供養から処分までの全ての費用が含まれていることがほとんどです。
    • 仏壇を単なる「モノ」ではなく「礼拝物」として丁重に扱ってくれるため、精神的な安心感が非常に高いです。
    • 実店舗を構えていることが多く、顔が見える安心感があります。
  • デメリット・注意点:
    • 新しい仏壇への買い替えを伴わない処分のみの場合、店舗によっては割高な料金設定になっていることもあります。事前に料金体系を確認することが大切です。

専門家(仏壇店)からのメッセージ

私たち新川崎雲山堂は、川崎の地で長年仏壇・仏具を扱ってきた専門店です。お客様が長年手を合わせてこられたお仏壇を、単なる「家具」や「廃棄物(ゴミ)」として捉えることは決してありません。それは、私たちが日々向き合っている大切な「礼拝物」だからです。
そのため、引き取りの際は単なる目隠しではなく、毎回清潔な新しい資材で丁寧に梱包し、神仏を敬う気持ちを持って大切に取り扱います。 もちろん、料金にはお預かりした全てのお品物へのご供養が含まれており
、「供養しない」という選択肢はございません。こうした「供養へのこだわり」と「専門知識」こそが、仏壇店にご依頼いただく最大のメリットです。

3. 仏壇供養処分の専門業者に依頼する

近年、インターネットを中心に増えているのが、仏壇処分を専門に謳う業者です。WEBサイトで手軽に申し込めるのが特徴です。

  • 手順:
    1. インターネットで業者を探し、WEBフォームや電話で見積もりを依頼します。
    2. 料金に納得すれば、引き取りを申し込みます。
    3. 指定日時にスタッフが訪問し、仏壇を搬出します。
  • メリット:
    • 業者によっては、仏壇店よりも安価な料金を提示している場合があります。
    • WEBサイトで24時間申し込みができるなど、手軽さが魅力です。
  • デメリット・注意点:
    • 最も注意すべきは業者の質のバラつきです。 実店舗を持たないWEB専門の業者も多く、どのような会社が運営しているのか実態が掴みにくい場合があります。
    • 「格安」を謳っていても、「ご供養料」が別途オプション料金になっていたり、当日になってから「階段料金」などの追加費用を請求されたりするトラブルも報告されています。
    • 「供養を行う」と説明していても、実際にどのように供養されているか不透明なケースも少なくありません。安さの裏にあるリスクを慎重に見極める必要があります。

4. 自治体の粗大ゴミとして処分する

費用を最も抑える方法ですが、多くのハードルがあることも事実です。

  • 手順:
    1. お住まいの自治体のホームページや窓口で、仏壇が粗大ゴミとして収集可能かを確認します。(自治体により断られるケースもあります)
    2. 事前に菩提寺や仏壇店などに依頼し、必ず「閉眼供養(魂抜き)」を済ませておきます。
    3. 収集が可能な場合、自治体のルールに従って手数料を支払い、指定された日時に指定場所へ運び出します。
  • メリット:
    • 数百円から数千円程度と、処分費用を格段に安く抑えられます。
  • デメリット・注意点:
    • 「閉眼供養」は別途手配が必須です。供養をせずにゴミとして出すことは、精神的な観点からも避けるべきです。
    • 自治体によっては宗教的な品物として収集を断られる場合があります。
    • ご近所の目もあり、「仏壇をゴミとして出した」という事実に精神的な抵抗を感じる方が多いです。

5. 遺品整理業者に依頼する

実家じまいなどで、家財一式を処分する必要がある場合に便利な選択肢です。

  • 手順:
    1. 遺品整理業者に見積もりを依頼する際、仏壇の処分も希望する旨を伝えます。
    2. 供養の方法(自社で提携寺院に依頼するのか、供養は別途手配が必要か)を確認します。
    3. 整理作業当日に、他の家財と一緒に仏壇を搬出してもらいます。
  • メリット:
    • 遺品整理から特殊清掃、不動産売却の相談まで、ワンストップで対応してくれる業者もあり、手間が省けます。
  • デメリット・注意点:
    • 仏壇供養が専門ではないため、供養のプロセスが不透明な場合があります。
    • 「供養費用」がオプションとして高額に設定されているケースもあるため、見積もり内容の確認が不可欠です。

6. リサイクル業者に売却する

「処分」ではなく「売却」という選択肢です。ただし、対象となる仏壇は非常に限られます。

  • 手順:
    1. 売却の前に、必ず「閉眼供養」を済ませておくのがマナーです。
    2. 骨董品や古美術品に強いリサイクル業者に査定を依頼します。
    3. 値段がつけば、売買契約を結び、引き取ってもらいます。
  • メリット:
    • 処分費用がかからないどころか、収入になる可能性があります。
  • デメリット・注意点:
    • 高級木材を使用している、著名な職人によって作られたなど、美術的・骨董的価値のある仏壇でない限り、値段がつくことはほとんどありません。
    • 一般的な家庭にある仏壇は、買い取りを断られるケースが大半です。

7. 自分で解体して処分する

最終手段とも言える方法ですが、多大な労力がかかります。

  • 手順:
    1. 必ず「閉眼供養」を済ませ、仏壇を単なる「木の箱」の状態にします。
    2. ノコギリやバールなどの工具を使い、仏壇をパーツごとに解体します。
    3. 解体した木材や金具を、自治体のゴミ分別のルールに従って処分します。
  • メリット:
    • 業者に支払う費用は発生しません。
  • デメリット・注意点:
    • 非常に手間と時間がかかります。仏壇は頑丈に作られているため、解体は想像以上に重労働です。
    • ご本尊や位牌を傷つけないよう、細心の注意が必要です。
    • 長年手を合わせてきた対象を自らの手で壊すことに、大きな精神的苦痛を伴う可能性があります。

川崎市・横浜市近辺で、どの方法が良いか迷われている方、あるいは信頼できる仏壇店をお探しの方は、一度「新川崎雲山堂」にご相談ください。仏壇のプロとして、お客様のお気持ちに寄り添い、最適なご供養の形をご提案いたします。川崎市に実店舗も構えておりますので、直接お持ち込みいただくことも可能です。

[→ 新川崎雲山堂の仏壇供養処分サービスを見てみる]


仏壇処分の費用相場と料金の内訳を大公開!

「いったい、いくらかかるの?」というのが、皆様が最も気になる点でしょう。仏壇処分の費用は、依頼する方法仏壇のサイズによって大きく変動します。

Q. 仏壇処分の費用相場はいくらですか?

A. 信頼できる仏壇・仏具店に依頼した場合、供養料や運搬費を含めた総額で25,000円~120,000円が一般的な相場です。

ただし、これはあくまで目安です。料金の内訳を理解することで、見積もりが適正かどうかを判断できるようになります。

仏壇処分の料金を構成する4つの要素

仏壇店などに依頼した場合の料金は、主に以下の4つの要素で構成されています。

  1. 基本処分料(仏壇本体のサイズで変動)
    • 仏壇の高さや幅、奥行きによって決まる基本的な料金です。小さいもので20,000円程度から、大きいものでは50,000円以上になることもあります。
  2. ご供養料(魂抜き・お焚き上げ料)
    • 仏壇や仏具に宿る魂を抜き、感謝を込めて浄火供養(お焚き上げ)するための費用です。
    • 重要: 信頼できる仏壇店は、この「ご供養料」が基本料金に必ず含まれています。 一部の専門業者では、別途高額なオプション料金として請求することがあるため注意が必要です。
  3. 出張・運搬費
    • スタッフがご自宅まで引き取りに伺うための費用です。
    • お店からの距離や、階段の有無、マンションの階数、出張人数などによって変動することがあります。
  4. その他の料金(仏具・関連品の処分料)
    • 位牌、ご本尊(仏像・掛軸)、過去帳、遺影、経机、座布団、盆提灯、神棚など、仏壇以外の品物を一緒に処分する場合に追加される料金です。

納得の料金で依頼するための3つのポイント

見積もりを取る際や、少しでも費用を抑えたい場合に、後悔しないために押さえておきたい3つのポイントをご紹介します。

  1. 見積もりは金額だけでなく「内容」を吟味する
    安易に複数の業者から相見積もりを取り、一番安いところに決めることはおすすめしません。 なぜなら、極端に安い料金には、本来行われるべき丁寧な供養が省略されていたり、大切な仏壇が雑に扱われたりするリスクが伴うからです。大切なのは、提示された金額に「どのようなサービスが含まれているのか」をしっかり確認すること。供養の方法、梱包の丁寧さ、スタッフの専門知識など、金額に見合った、あるいはそれ以上の価値ある内容であるかを吟味しましょう。
  2. 処分したいものを事前にリストアップしておく
    仏壇以外に、位牌や仏具、神棚など、処分したいものを全てリストアップし、見積もり時に正確に伝えることで、当日の追加料金トラブルを防げます。「これもお願いできますか?」と当日に追加すると、想定外の料金が発生することがありますので、事前に相談しておくことがスムーズです。
  3. 自分でできることで出張費・人件費を賢く抑える
    信頼できるお店に依頼すると決めた上で、費用を少しでも抑えたい場合は、以下の方法があります。

    • 店舗へ直接持ち込む: もしご自身で運べるお車がある場合、お店に直接仏壇を持ち込むことで、スタッフの出張費を節約できます。私たち新川崎雲山堂のように実店舗を構える仏壇店ならではの方法です。(※持ち込みを希望される際は、安全のためにも事前に店舗へご連絡ください。)
    • 搬出作業を手伝う: 一人では運べないサイズの仏壇でも、お客様に少し搬出をお手伝いいただくことで、スタッフの人数を減らせる場合があります。これにより人件費を抑えられる可能性がありますので、ご希望の場合は見積もり時にご相談ください。(※安全には十分配慮いたしますが、無理のない範囲でのご協力をお願いしております。)

問い合わせから供養完了まで|仏壇処分の基本的な流れ(5ステップ)

仏壇店などに依頼する場合、どのような流れで進むのかを具体的に見ていきましょう。事前に流れを把握しておけば、安心して当日を迎えられます。

ステップ1:事前準備(家族会議と仏壇の整理)

  • 家族・親族との話し合い: 仏壇はご家族やご親族にとっても大切なものです。なぜ処分が必要なのかを丁寧に説明し、全員の同意を得ておきましょう。後のトラブルを避けるために最も重要なプロセスです。
  • 仏壇の中身の確認: 仏壇の引き出しや戸棚の中に、現金、預金通帳、貴金属、権利書などの貴重品が残されていないか、必ず確認してください。
  • 残すものと処分するものの仕分け: ご本尊や位牌、過去帳などをどうするか決めます。菩提寺に預ける「お預け位牌」や、よりコンパクトな仏壇に祀り直すという選択肢もあります。

ステップ2:依頼先の選定と比較検討

  • お店探し: インターネットで「仏壇 処分 川崎市」など、「地域名+仏壇 処分」で検索し、候補となる仏壇店や業者をいくつか探します。
  • 問い合わせ・見積もり: 候補のお店に電話やメールで連絡し、仏壇のサイズ(高さ・幅・奥行き)、設置場所(階数、エレベーターの有無)、処分したい仏具などを伝え、仮の見積もりをもらいます。

ステップ3:閉眼供養(魂抜き)の手配

Q. 閉眼供養(へいがんくよう)とは何ですか?
A. 閉眼供養とは、仏壇や位牌に宿っているとされるご先祖様の魂を抜き、単なる「物」に戻すための儀式のことです。 一般的に「魂抜き」「お性根抜き(おしょうねぬき)」とも呼ばれます。 新しく仏壇を購入した際に魂を入れる「開眼供養(かいげんくよう)」と対になる大切な儀式です。

信頼できる仏壇店に依頼する場合、この閉眼供養も引き取り後の供養法要に含まれていることがほとんどです。 手を合わせていた礼拝の対象には「想い」が籠っていますので、たとえ購入時に開眼供養をしていなかったとしても、感謝を込めて供養を行うことが望ましいとされています。

ステップ4:仏壇の搬出・引き取り

  • 当日の最終確認: 予約した日時にスタッフが訪問します。実際に仏壇の状態を確認し、最終的な確定料金が提示されます。
  • 支払い: 金額に納得したら、代金を支払います。領収書を必ず受け取りましょう。
  • 梱包・搬出: スタッフが仏壇や仏具を丁寧に梱包し、家の中から運び出します。優良な仏壇店は、家屋を傷つけないよう、また故人への敬意を払い、静かに作業を進めてくれます。

ステップ5:供養・処分と完了報告

  • 合同供養・お焚き上げ: 引き取られた仏壇は、お店が提携する寺院などに運ばれ、他の仏壇と一緒に丁重に供養された後、専門の施設で焼却(お焚き上げ)されます。
  • 供養完了報告: 供養が無事に完了した後、希望者にはお寺の印が押された「ご供養完了報告証」などが郵送されます。 これにより、最後まで責任を持って供養されたことを確認でき、安心することができます。

仏壇処分は罰当たり?宗派による考え方の違いと心の持ち方

多くの方が抱える「罰当たりなのでは?」という罪悪感。しかし、結論から言えば、感謝を込めて丁寧に供養すれば、仏壇を処分することは決して罰当たりなことではありません。

大切なのは、「捨てる」と考えるのではなく、「時代や生活の変化に合わせて、ご先祖様の居場所を整えさせていただく」と考えることです。

Q. 浄土真宗では「魂抜き」は不要と聞きましたが本当ですか?

A. はい、本当です。浄土真宗では、他の宗派で行う「魂抜き(閉眼供養)」は行いません。代わりに「遷仏法要(せんぶつほうよう)」という儀式を行います。

これは、浄土真宗の教えでは「魂」という概念がなく、ご本尊(阿弥陀如来)は常に私たちを見守ってくださっていると考えるためです。 遷仏法要は、ご本尊に一時的にお移りいただくための儀式であり、「魂を抜く」のとは意味合いが異なります。

宗派 仏壇処分時の儀式 考え方
浄土真宗 遷仏法要(せんぶつほうよう) ご本尊に一時的にお移りいただく儀式。
その他の多くの宗派
(天台宗、真言宗、浄土宗、日蓮宗、曹洞宗、臨済宗など)
閉眼供養(へいがんくよう) 仏壇やご本尊に宿った魂を抜く儀式。

このように宗派によって考え方や作法は異なりますが、ご本尊やご先祖様への感謝の気持ちを表すという本質は同じです。宗派が分からない場合でも、専門の仏壇店であれば、どの宗派の仏壇であっても適切に供養してくれますのでご安心ください。

罪悪感を和らげ、心を整理するための3つのステップ

  1. 感謝を伝える時間を作る: 処分する前に、家族みんなで仏壇に手を合わせ、これまでの感謝の気持ちを伝えましょう。「長年、家族を見守ってくださり、ありがとうございました」と心の中で伝えるだけでも、気持ちが大きく変わります。
  2. なぜ処分が必要か再確認する: 「子供に負担をかけたくないから」「新しい住まいで、新しい祈りの形を作りたいから」など、処分が前向きな決断であることを再確認しましょう。
  3. 信頼できる専門家に託す: あとは、心を込めて供養してくれる専門家に託すだけです。自分たちの代わりに、最後まで丁重に扱ってくれる専門家がいると思えれば、心の負担は大きく軽減されます。

失敗しない!信頼できる仏壇店・専門業者の選び方 5つのチェックリスト

数あるお店や業者の中から、本当に信頼できるパートナーを見つけるために、以下の5つの点を必ずチェックしてください。

  1. □ 会社の所在地が明確で、実店舗はあるか?
    • 最も重要なポイントです。 ウェブサイトだけで実態が不明瞭な業者ではなく、会社の住所がきちんと記載され、長年その地で営業している実店舗を構えているお店の方が圧倒的に安心です。 持ち込みに対応しているかも確認しましょう。
  2. □ 供養への考え方や姿勢が明確か?
    • ホームページなどで、単なる「処分」ではなく、故人やご先祖様への敬意を払う「供養」を大切にしているかが分かりますか? 「礼拝物」として丁寧に扱う姿勢が示されていますか?
  3. □ 料金体系が明瞭で、供養料が含まれているか?
    • 見積もりに「供養料」「運搬費」などが全て含まれてますか?また、追加料金の可能性についての明瞭な説明があるましたか? 「供養はオプション」といった業者には絶対に注意が必要です。
  4. □ 豊富な実績や「お客様の声」が掲載されているか?
    • 実際の供養の様子や、作業風景の写真が掲載されていますか? 利用者からの直筆のアンケートや感謝の声は、信頼性を測る重要な指標です。
  5. □ 問い合わせ時の電話対応が親切で専門知識があるか?
    • こちらの不安な気持ちに寄り添い、専門用語を使わずに分かりやすく説明してくれますか? 仏壇に関する専門的な質問にも的確に答えられますか? スタッフの対応は、その会社の姿勢を映す鏡です。

これらのチェックリストをクリアする、特に「実店舗の有無」という点で安心できる仏壇店を選べば、あなたの大切なお仏壇を安心して任せることができるでしょう。

仏壇処分に関するよくある質問(Q&A)

最後に、お客様からよく寄せられる質問にお答えします。

Q. 仏壇の中の仏具(りん、香炉など)や遺影も一緒に処分できますか?

A. はい、可能です。 仏壇にまつわる品物(位牌、仏像、掛軸、経机、座布団、りん、香炉、花立など)や、神棚、遺影、人形など、多くの仏壇店や専門業者がまとめて供養処分を引き受けています。 品目によって料金が異なりますので、見積もり時にご相談ください。

Q. 供養に立ち会うことはできますか?

A. 恐れ入りますが、お客様の立ち会いはお断りしております。私たちのような仏壇店では、お預かりした複数のお仏壇を一定期間保管し、提携寺院様にて合同で丁重に供養法要を執り行うのが一般的です。そのため、個別での立ち会いは難しいのが実情です。その代わり、後述する「ご供養完了報告証」の発行をもって、責任をもって供養がなされたことのご報告とさせていただいております。

Q. 引き取りの際に、自宅で読経はしてもらえますか?

A. 僧侶の資格を持たない私たちが読経を行うことは、かえってご先祖様に対して失礼にあたると考えております。そのため、引き取り時にスタッフが読経することはありません。私たちはあくまで「礼拝物の専門家」として、お仏壇を敬意をもって丁寧にお運びし、その後の正式な供養法要を責任をもって寺院様へお繋ぎする役割を担っております。

Q. 作業時間はどのくらいかかりますか?

A. 一般的なサイズの仏壇であれば、ご自宅での梱包・搬出作業は30分~1時間程度で完了します。スタッフが迅速かつ丁寧に行いますので、お客様に長時間お付き合いいただくことはありません。

Q. 供養が終わったか不安です。証明書はもらえますか?

A. はい、ご希望のお客様には「ご供養完了報告証」を発行しております。 これは、単なる私たちの会社印が押されたものではありません。実際に供養法要を執り行っていただいた寺院様の承認印が押された、正式な証明書です。これにより、お客様の大切なお仏壇が、僧侶様の手によって確かにご供養されたことをご確認いただけますので、どうぞご安心ください。この「寺院の印」があるかどうかも、信頼できる業者を見極める上で非常に大切なポイントです。

まとめ:感謝を込めて、新たな一歩を

この記事では、仏壇処分の7つの方法から費用相場、具体的な流れ、そして心の持ち方まで、網羅的に解説してきました。

【この記事の重要ポイント】

  • 仏壇処分の方法は7種類あり、専門知識・安心感・費用のバランスが良いのは「仏壇・仏具店への依頼」
  • 費用相場は25,000円~120,000円が目安。料金は安さで選ばず、「内容」を吟味することが重要。
  • 処分前には必ず「閉眼供養(魂抜き)」を行うのが基本。(浄土真宗は「遷仏法要」)
  • 処分は「捨てる」のではなく、「感謝を込めてお役目を終えていただく」儀式と考える。
  • お店選びは「実店舗の有無」を最重要視し、料金の明確さや供養への姿勢を確認する。

お仏壇の処分は、決して簡単な決断ではありません。しかし、それはご先祖様をないがしろにすることではなく、変化する時代の中で、私たちがご先祖様との関係を考え、感謝を新たにするための大切な節目です。

この記事が、あなたの長年の悩みや不安を解消し、心の整理をつけて、新たな一歩を踏み出すための一助となれば幸いです。


川崎市・横浜市および周辺地域で仏壇の供養処分をご検討なら、私たち仏壇・仏具店の「新川崎雲山堂」にお任せください。

私たちは、川崎の地で長年仏壇店を営んできた「礼拝物の専門家」です。 お客様が大切に手を合わせてこられたお仏壇を、素性の知れない業者のようにゴミとしてではなく、敬意を払うべき「礼拝物」として、最後まで責任を持ってご供養いたします。

  • ご供養込みの安心・明確な料金体系
  • 仏壇のプロによる、毎回清潔な資材での丁寧な梱包
  • 宗派を問わず、全てのお仏壇に対応
  • 川崎市の実店舗でのお持ち込みや、搬出のお手伝いによる費用のご相談も大歓迎

まずはお電話での無料相談・お見積もりから。あなたのお気持ちに、誠心誠意お応えします。

[→ サービス内容と料金を詳しく見てみる]


この記事の監修者

株式会社 新川崎雲山堂 体表取締役 青地 直樹

役職: 代表取締役 / 仏師三代目
経歴:
昭和24年創業の仏壇店「雲山堂」をルーツに持つ「新川崎雲山堂」の三代目。祖父、父の背中を見て育ち、幼い頃から仏壇・仏具に触れる。大学では建築学を専攻し、住宅デザインや動線計画を学ぶ。卒業後、家業を継ぎ、仏壇業一筋の道を歩む。経営者として悩んだ経験から「お客様の心に寄り添う」ことを経営理念の中心に据え、日々お客様と向き合っている。
保有資格:

  • 二級建築士
  • 仏事コーディネーター

お客様へのメッセージ:
「お仏壇は、特別なものではなく、日常生活の中に溶け込み、故人と共に暮らすための大切な場所です。私たちは、お客様が心から安らぎ、自然と手を合わせたくなるような、世界に一つだけの祈りの空間を創るお手伝いをさせていただきます。どんな些細なことでも、お気軽にご相談ください。

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